高校生編
高校生活、春。
と言っても、やる事は小学校や中学校の延長で、結局勉強や他人との協調を学ぶ場所だ。
「千代、今日部活無いから一緒に帰ろうぜ。」
私の彼氏にあたる直正君は高校でもサッカーを続けていた。
勉強、部活、それに加え私と付き合う。彼はきっと高校生活を謳歌している部類なんだろう。
「うん、そうだね。」
そんな彼でも何故か私と一緒にいる時に悲しそうな顔をする。
「千代、たまにはどっか行く?」
「直正君どこか行きたいとこあるの?」
「いや、無いけど・・・。」
こんなやり取りがここ二週間続いている。
「あ、そういえば。」
「何?どっか行きたくなった?」
「じゃなくて、中学校に私の忘れ物あるんだって連絡来たんだった。取りに行かなきゃ。」
「まじか、早く取り行こうぜ。」
「ううん、直正君は先に帰ってていいよ。悪いし。」
そう言って私は走って中学校に向かった。
「・・・畜生・・・。」
中学校に着いた。数週間振りの中学校は懐かしいと感じる程時間も経ってなく、何故自分がここにいるんだろう、という不思議な感覚しか無かった。
最初に職員室に寄ってくれと言われているのでその通りにした。
「失礼します。卒業生の十和です。」
「待ってたぞ、こっちだ。」
そこには阪座先生がいた。
先生に連れられて昨年度私が過ごした3-2の教室に着いた。
「そこの端の机、誰も使って無いからそこにお前の私物入れといたぞ。」
そうして窓際の一番後ろの席を指さす。
私はそこへ向かおうとすると、後ろからガムテープで口を塞がれた。
「!?」
声が出せない。
「お前をさ、狙ってたんだよ・・・。いっつもすかした顔してよぉ。」
先生はズボンを下ろし私の制服を脱がせようとする。
勿論抵抗して蹴るなどするがすぐ掴まれてしまった。
「俺が教師やってるのはこうして教え子食えるからだよ・・・。たまんねぇ。」
気持ち悪い。こんな奴殺してやりたい。そんな風に思っても、どうやってこの状況を脱出するのか思い付かない。
「諦めろよ、な?」
「お前がな。」
一瞬何が起きたか分からなかった。
先生が吹っ飛んで、A高校の制服を着た男が立っていた。
「大丈夫?千代。」
何でこの人は私の名前を知っているのだろう?そんな謎の生徒にガムテープを取ってもらい、立たせてもらった。
「怖かった、ありがと。」
「全然怖そうにしてないし、泣いてないじゃん。」
何を言ってるんだろうこの人は。
「何で初対面の人にそんなツッコミされなきゃいけない・・・。」
「初対面の人じゃないけど?」
何を言ってるだろう、本当に。こういう状況を救った新手のナンパ?
「忘れてるなら、まぁそれでいいけど・・・。」
「俺の名前は仁瀬真澄だよ。」
イケメンかよ(嫉妬)