高校生Ⅱ編 終
見かけたのは偶然だ。
何で笑ってる?
あんなに楽しそうに。
ムカつく。
「寒くなってきたね。」
季節は冬を迎え、皆制服の上着を羽織るようになった。真結の言う通り寒くなってきた。
「私、冬にいい思い出無いから・・・。」
私はどんよりした空気で答える。
「こ、今年はいい事あるんじゃない?」
気を使ってフォローされた。
「ありがと、そうだといいな。」
私はそれに笑って答えた。
放課後になると、いつもの様に真結と真澄、私の三人で帰宅し始めた。
「帰ろっか。」
三人でどうでもいい会話をしながら下校する。
「・・・チッ。」
今日も何事も無く平和に終わった。
また明日もこうだといい、そう思って眠りにつく。
次の日、私は熱を出した。
症状からしてただの風邪だと思って、学校に連絡して休むことにした。
「風邪なんて何年振りだろ・・・。」
そう呟いてから、身体を休ませる為に眠った。
ピトッ
額に冷たい物が当たり、びっくりして目が覚めた。
「御見舞に来たよ。」
真澄と真結だった。
「・・・ありがと。」
風邪で弱っていたのか、嬉しかった。
「ちゃんと水分取ってる?食欲は?」
「大丈夫、しっかり取ってるよ。食欲は、そんなに無いけど。」
「そっか、しっかり休んで治してね。」
真結がジェスチャー加えてわかりやすくしっかりを表現する。
「じゃあ、あんまり長居しても悪い帰ろっか。」
真澄が気を使ってそう言った。
「二人共御見舞ありがとうね。」
「そっちこそお大事に。」
「お大事にね。」
二人が帰って行った後、置いてったスーパーの袋に気付いた。そこに『水分と食料ちゃんとね。』ってメモがあった。
折角なので中のスポーツドリンクを飲んで、また眠る事にした。
「――――できますように。」
―真澄?随分小さいね。
「千代ちゃん?!いなんだ・・・。」
―いたよ、さっきからだけどね。
「願い事聞いちゃった?」
―聞こえなかったよ、でもその神社でお願いしちゃ駄目だよ。
「そっか・・・。ごめんなさい。」
―真澄の大事な人が不幸になっちゃうよ?
「それは嫌だよ。」
―なら、もうしちゃ駄目だからね。
どうやら朝まで眠ってたみたいだ。
不思議な夢を見た。夢の内容は全然思い出せないけれど。
「あ、熱下がったかも・・・。」
寝惚けながら体温計を使うと、やっぱり熱は下がっていた。
他にうつしても悪いので、一応今日も休むと学校に連絡した。御見舞に来てくれた二人にも熱は下がったよ、と連絡した。
次の日、私は学校に登校する準備を終え、家を出た。
二日間行ってないのになんだかそんなに休んだ気がしなかった。
登校途中、真結を見かけた。
「おはよう、真結。」
「あ、千代!もういいの?」
「うん、お陰様で。」
「そんなに長引く風邪じゃなくて良かったね。」
「うん、御見舞の時、スポーツドリンクありがとうね。」
私はお礼をした。
「そんなお礼言われるような事じゃないよ。それに買ったの仁瀬君だし。」
後で真澄にもお礼を言っておこう。
そんな雑談をしながら私達は学校に向かった。
放課後、やっぱりいつも通りの三人で帰ろうとすると。
「あ、私今日ちょっと用事があったんだ!二人で帰って!ごめんね!」
そう言って真結は走り出した。
「・・・行っちゃったね。」
「学校残っててもしょうがないし、俺達も帰ろっか。」
今日は二人で帰る事になった。
そして校門を出た所で、話しかけられた。
「やっと・・・二人で来たね。」
声の正体は私のよく知ってる人だった。
「はんこちゃん・・・?」
イケメンの冗談に女子はよくわからなくても笑うようです、美少女の天然に萌える男子もいるのでおあいこだと思います。
後2話で終われ!!!!