高校生Ⅱ編
綺麗な景色に向かって一歩踏み出す直前で後ろから引っ張られた。
「柵の向こうに行くなって小学生でも知ってるでしょ。」
引っ張ったのは真澄だった。
「何でいるの!」
私は怒鳴った。会いたくない人がよりにもよってこんなとこで邪魔をするなんて。
「まだ早朝だよ?!馬鹿じゃないの!ストーカーみたいに変な時に来て!前もそう!助けてなんて頼んでないじゃん!」
私は何かが切れたように泣きながら真澄に当り散らした。
「もう嫌なの!自分が好きな人を忘れるなんて!自分の為なら親すら死んでもいいなんて!そんな自己中心な自分なら死んだ方がましなの!邪魔しないでよ!」
真澄はただ黙って聞いてた。それが余計に辛かった。
「直正君だってそう!自分のせい、自分のせいって勝手に償いって変な事してさ!私と同じ事しててムカつくの!自分が楽になりたいからって人を犠牲にして・・・。」
「死んだって何にもならないよ。」
冷静に真澄が返す。
「俺は二人の犠牲者だけど何も恨んで無いよ、今こうして普通に生きてるし。二人がそれでも自殺するって言うなら俺が生涯をかけて邪魔する。」
「何で・・・。」
何でそこまでするの?そう言いかけて止まっていた涙がまた流れ出した。
「直正もさ、今まで通りとは行かないだろうけど生きてればいいじゃん。俺達まだ高校生だよ?」
直正君も泣いていた。
「二人共、HRまで少しあるし部活棟のシャワー室でも借りてきたら?制服は予備のあるだろうし、今日は終業式なんだからさ。」
真澄の言う通りにした。
終業式に出てる間、私は先の事を考えた。
罪悪感は無くなったわけじゃない、けれど落ち着いて考えたら死んで逃げるような事は意味が無いって理解した。
私は、元の私には戻れないけど、今記憶にある私の過ちも不幸も、痛みも悲しみも受け入れようと思う。
受け入れて、もうしない。
私は・・・直正君も間違えるだけ間違えた。
なら、もうしない。
それで、しっかり生きて行こう。
次回から異世界編です