高校生編 終
「あ、ああ・・・。」
全部思い出した。真澄の事を、母の死を・・・。痛みを、悲しみを、今まで経験したはずの無い辛い記憶が私を支配した。
「ごめん、ごめんなさい・・・。」
彼の謝罪は私に届かない。それどころではない。
涙が止まらない。苦しい。
私達は嗚咽が止まる事なく、外で夜を過ごす事になった。
「・・・。」
夜通し泣いて私は疲れ果てた。もう何もかもどうでもよくなった。
「ごめん・・・なさ、い。」
彼も謝り続けて疲れている。それでも謝ることはやめなかった。
もう終わりにしよう。
直正・・・君も、私も自分の自己中心振りに嫌気がさしているんだ。
「そんなに、責任感じてるならさ、私も悪い事してるし、一緒に死のうよ。」
彼は驚く様子も無く、頷いた。
何処で死ねばいいだろう、もう何処でもいいか。綺麗に死にたいとか思わないから、せめて私以外の人達が幸せになれたらそれで。
場所は一番簡単な学校の屋上から飛び降りる事にした。
「生まれ変わるなら、何がいい?」
私は直正君に訊いた。
「・・・。」
彼は黙っている、もう喋る元気も無いみたいだ。
屋上に忍び込むのにも体力を使ったし、もうヘトヘトなんだろう。精神的にも。
屋上は寒く、景色だけが綺麗で自分の汚さが身に染みた。
「あのさ、もう私の気持ちとか分からなくなっちゃったけど、飛び降りる時は手を繋いでいいかな?」
そう言うと彼は黙って手を繋いでくれた。
「ありがと。」
深呼吸をして、緊張を解す。
後一歩踏み出せば遥か先の地面に一直線だ。
そして私達は一歩を踏み出した。
高校生編なげーよ