小学生編
今回は長いです、今までに比べて。
春夏秋冬シリーズの最後です。
皆さんは神様を信じますか?
私は信じます、神様じゃなくても人間の力じゃない不可思議な存在はいます。私は
そんな男を知っています。
雪が積もった神社、まだ小学生の私達は暖かい格好をして雪遊びをしていた。
「真澄、知ってる?」
私は雪だるまの身体を転がしながら頭を転がしている真澄に訊いた。
「知らない。」
真澄は素っ気なく答える。
「そうじゃない!何が?って言うの!」
「じゃあ何が?」
相変わらず真澄は素っ気なさそうだ。
「この神社ね、願いを叶えてくれる神様がいるんだって!」
「そんなの、いるわけないじゃん・・・。」
「いるもん!」
「神様なんていねーよ。」
「いるってば・・・。」
こんな言い争いで泣きそうになってしまう私は泣き虫なのだろう。真澄は逆に泣くことはほとんどなかった。
「あー、泣くなよ千代。神様はいるよ。」
「いる・・・。」
泣いて真澄の意見を変えようとする私もだがすぐ折れる真澄もどうなんだろうか?お互い甘い。
「あのね、その神様願いを叶えてくれる代わりにその人のね、大事な人を不幸にするんだって。」
私は涙を拭って、真澄に教えた。
「それは神様じゃなくて悪魔だろ・・・。」
真澄はあの頃からどこか大人びていた。そんな真澄が私は好きだ。
もう遅いから帰ろって真澄が言ったので二人で帰ることにした。
「なぁ、千代。」
「なーに?」
私は道端の小石を蹴りながら訊いた。
「俺達はこのまま二人でいれるかな?」
少し寂しそうに真澄は言った。
「大丈夫だよ、私達仲良しだもん。」
私は何の保証も無いのにそう言った。
「そうだよな・・・。」
真澄は安心したような顔をして、笑った。
次の日、学校に登校すると事件は起きた。
「真澄君、今度サッカーの試合でしょ?頑張ってね。」
クラスの女子達は真澄に群がっていた。勿論私もだ。
「うん、ありがと。」
真澄は相変わらず素っ気なさそうだ。いつも通りだけどそれがいいのだろう、女子は虜だ。
まぁそれも一部の人気者組だけで他は割と冷めている。群がっていると言っても私を含めて四、五人だ。
「あ、千代、今日部活だから。」
「うん、先に帰ってるね!」
こんなやり取りを彼女らの前でできるだけで少しの優越感に浸れる。単純だ。
それにしても雪はまだ積もってるっていうのに練習だなんて真澄も大変だなぁ。サッカーに本気で打ち込んでるのは知ってたけど。
「・・・・・・・・・。」
真澄が部活の練習を頑張っているので、私はいつも遊んでる神社で次の試合のお守りでも買おうと走った。
真澄が大人びているのは多分、お父さんが家を出て行ってからだ。お父さんといつもサッカーをして遊んでいた。それなのに何があったのか真澄のお父さんはある日突然いなくなったのだ。
その頃から、真澄は大人びていた。大人びたというより・・・頭が良くなった、多分お父さんに早く帰って来て欲しくて出来ることを全部頑張ってるんだと思う。
だから、私はできるだけ真澄を手伝いたい。
「あ、千代ちゃん。」
神社には先客がいた。
同じクラスの逸仙はんこちゃん。人気者組で真澄の事が好きな子だ。
「はんこちゃんも真澄の為に?」
「うん、お祈りしてたの、真澄君の為に。」
「そうなんだ、真澄きっと喜ぶよ!」
「うん・・・きっと、ね。」
はんこちゃん・・・笑った?
「おい真澄!」
「先生!真澄が滑って足を抑えてる!」
「動かすな!真澄、大丈夫か?」
「大丈夫、です・・・。」
「痛そうだぞ・・・。」
真澄が怪我をしたことを私はまだ知らない。
続け