夏の日
ねぇ、暑くない?
暑いよそりゃ。
だよね。
…。
…。
こうやって、あなたと無言のまま過ぎて行く時間て喋っている時より多いと思うの。
僕もそう思う。
…
…
心地いいよ。
僕も。
あなたが、口を結んで開こうとしないからずっとずっとその緊張をほぐす言葉を、あげたいと思った。
あなたが綺麗と言葉の粒をこぼすから
僕はたくさん綺麗なモノを見せたいよ。
私は出会えてよかったって思ってる。
僕は出会わなきゃよかったなんて思わないよ。
そうだよね。
ん。
あ、花火だよ。
綺麗。
一緒にみれて嬉しいよ。
そう言ったら、
あなたが、僕のほうを向いて少し見開いた目から大粒の雫がこぼした。
なんで
と問うと
だって言葉にするの苦手じゃない。
なんて痛いところを突いてきたから、
うんとしか言えなかった。
あなたが綺麗とこぼすときに隣にいられることが僕にとって嬉しいんだ。
っていうことを伝えられないから。
だから、少しずつ好きをかさねていきたい。
それで、あなたが時に泣くのならこれからは、何も聞かず、ただそばにいようと思うんだ。
そう、打ち上げられている色とりどりの火の花に誓った。