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一幕

酒盛卿の前日談

作者: valota666

少年は怒りに震えていた。

母親が保護された神殿に横たえられていた者達の有様に


ある者は病に伏して、ある者は欲望の餌食となって死にかけていて・・・・・・・・・

少ないながらも伏したままで救われない者の姿が目に映ったときに少年の目には怒りの涙が浮かんでいた。



その中で母親の姿を見かけたときの少年の絶望は如何ばかりなのだろうか?

神殿の床に伏したままでぴくりともしない。

その周りを見知らぬ者達が祈りの歌を捧げている。

彼等が死出の旅路を導きますようにと謡っているわけではなくて彼女に生きてほしいと叫びをあげているのである。


少年は母親の姿を見たら泣きそうになるのを我慢して周りを見渡す。そこで目に付いたのが一人の少女の姿である。

顔中を傷だらけにして死にそうな傷を負っているのに生きたいと生きたいと声なき声を挙げているのである。

その様を見て少年は助けを求める声を挙げる。


助けて助けてこの子は生きていたいといっていると・・・・・・・・・



助けを求める声を聴いた神様は少年に問いかける。

「君はこの子を助けたいのか?」


少年の答えは一つしかなかった。

神様はさらに問いかける

「君は自分が持つ助けるための願いをこの子のために使うのか?君を育てるために損ねた母親をおいてまで」

少年は答える、母親はすでに助けてくれる人がいる。ならば、助けの来ないこの子のために一人くらい叫びをあげてもいいじゃないかと

神様は三度問いかける

「助ける価値はあるのか?」

少年は無言で神様に殴り掛かる。お前にこの子の価値が判るのかとお前にここで朽ちかけている誰かの価値が判るのかと・・・・・・・・・


神様は微笑んで

「君は私に挑戦状をたたきつけてきた。なんと愚かしく、なんと優しい少年だ。私は君に免じてその挑戦を受け入れよう、ここにいる者達は今だ体と心が死んでいない限り立ち直る機会を与えよう。この中の誰かが私の心を揺るがすものとなるのならば私は君に力を与えよう。そうでなければ少年よ、君に神たる私にたてついた報いを受けることとなろう。」

少年は微笑んで

「神様そんな賭けをする必要もないよ。なんだって俺が誰かを思って立ち上がることができたのはそこで横たわっている母ちゃんのお蔭なんだから。神様が賭けをするくらいに心揺さぶられたのはここに横たわっている者達のお蔭だろ。」

とにやりと笑うと神様もにやりと返し

「面白い面白いぞ少年!そして見事だ見事だ少年!その生涯を費やして無益な事を繰り返すのかと思えば自らの存在で彼等の価値を勝ち取るとは何とも悔しいくらいに見事な返しをするではないか!我が名において彼等に助力を致そうぞ!ああ、なんと心地よい事だ神にも届く一言を返す子供がいたことに。」

神様は喜んで横たわる者達に祝福を与える。


勿論、神様の力は強すぎて毒にもなるから神様信じる誰かの手を使って。

そうして神殿の殆どの者は助かった。


神様笑いながら少年に

「この事は君の記憶に残らない、この事は神々以外の誰にも知られない。それでもよいか?」

と問うならば少年は

「助かるならばそれでいい。」

と答えを返す。


そして、この事を知るのは神々しかいない。

だけど少年は神殿に横たわる誰かのために、神殿に横たわる事の出来ぬ誰かのためにすべてを振るうのは【傷跡娘の物語】を聞いた心ある誰かが知ることである。



誰も知られぬ物語、誰も知られぬ物語。

それを無いものとして否定するのは心無い行動であろう。

神々しか知らぬ物語、それでも誰かが知る物語。

神々は願う、この物語をたどる事が出来る者が現れることを。

そして世界は願う、この物語を超える者が現れることを。







この話の最後に少年は傷だらけの少女を妻として二人幸せになろうと進んだとさ。

この話にお付き合いいただきありがとうございました。

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