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ラストピース  作者: わとし
第一章「はじまり」
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はじまり

 いつもの時間に目が覚める。

 朝の6時、そして今日は日曜日。

 昨日までにあったことを昨日から記憶を遡って箇条書きに書き出してみた。


・友達とカフェに行った。気づいたら夜だった。時間が飛んだ気がした。


・とわが学校を休んだ。たくや君に助けられた。


・帰り道、たくや君の後をついて行ったら、途中の曲がり角で突然消えた。


 ……そういえば。

 思い返せば、これがきっかけだったかもしれない。

 私のみに起こっていることなのか、

 みんななにか感じているのか、

 それはわからないけど、明確にここで変わっている。

「ん!」

 私は突然、空気を鳴らす勢いで首を窓の方に向けた。

 もしかするともう夜かもしれないから。

 でも、まだ 外はオレンジ色に染まっていた。

「流石にまだ夕方かぁ……、夕方!?」

 一瞬理解した私に驚きつつ、急いで窓に歩み寄る。

 西に沈む太陽、はるかを照らすオレンジ色の光は確かに夕陽だった。

「もうそんなに時間が経ったなんて、やっぱりおかしい。」

 そして気がつくと私は布団の中に閉じ込められていた。

 目覚まし時計がその拘束を解く。

「もう朝かぁ……。」

 眠い目をこすりながら、私は準備を済ませ、学校へ向かった。

 学校に行く途中、たくや君を見かける。

「あ、たくや君おはよう〜!」

 元気に挨拶をしたが、たくや君の反応はなかった。

 もしかして、聞こえなかったのかな?

 もう一度、今度は割と大きい声で叫ぶように言う。

「おはよ〜〜〜!たくやく〜ん!」

 そうするとたくやはようやく振り向いてこちらに微笑みかけた。

「おはようございます。今日もご壮健のご様子にて、何よりに存じます。」

「今日はいい天気だね〜。」

「左様にてございますな。実に好天。

 空はまるで青き絵具を溢したるかのごとき色をなしております。」

「確かに!」

 そんな他愛もない会話をしながら、私とたくやは学校に歩いた。

 教室につくと、お昼だった。

 またかと、思いつつ、

 席に荷物をおいて職員室に遅刻を報告しに行こうとしたとき。

「こんにちは、はるかさんが遅刻なんて珍しいですね。」

 と、ここちゃんが挨拶しに来てくれた。

 私はそれに元気をもらい、

「あぁ、こんにちは!まぁ私にとってはおはようだけどね!」

 と、返す。

「たぶんね、たくやも遅刻してるよ」

 少し自慢げに語る、が、しかし、

 ここちゃんは意外なことを教えてくれた。

「あれ、たくや君なら今日の一時間目に見たよ。

 だから、遅刻はしてないんじゃないかな。」

 嘘だ、一緒に学校に来たのに、なぜ?どうして?

 私はここを一瞬疑う。

 でも、嘘をついている顔ではない。

 いや、むしろこんな人がウソを付くのか?

 私の頭の中がぐるぐる回り始める。

「心配しないで、大丈夫だよ。」

 そういいながら、ここが私の手を握る。

 暖かい。そのおかげで私の思考はすこし緩やかになった。


 放課後の帰り道、まだたくや君を見つける。

 今度は逃さないよう、隣について帰ることにした。

 隣にたどり着くと、

「おや、はるかさん。ご機嫌よう。お住まいは此方であらせられましたか。」

 と、話しかけてくれた。

 私は予想外のことで、思わず、

「あ、違うんだけどね」

 と、本当のことを言ってしまった。

「何と。其は、いかなる意味にてございましょうか。」

 もちろん、答えられるはずがない。

 回答に悩みながら、無言の空間を共有しながら二人で歩いていた。

 突然、誰かに肩を叩かれる。

「なに!?誰!?」

 私は叫んだ。

 振り返るとここがいた。

「あぁ、そこまでびっくりするとは思わなくて、

 申し訳ないです。これ、午前中に配られたプリント、渡すの忘れてました。」

「ありがとう!通り魔かと思ってびっくりしたよ〜、それじゃあね!」

「すみません、ありがとうございます、それではまた明日。」

 ここが帰っていく背中を確認した後に、

 私は振り返ってたくやくんに視線を向けた。

 が、そこにはたくや君はいなかった。

「え!?」

 私はまだ叫んだ。

 またおかしいことが起こっている。

 なにか、私の中、いや、外側を異常が包みこんでいるみたいだった。


 次の日、私は朝登校している途中のたくや君を狙って、

 昨日出会った場所で待ち伏せをした。

 しかし、いつになってもこない。何かあったんだろうか。

 そう思い、後ろを振り向く。するとそこにはたくや君が立っていた。

「済まぬ。気づくこと、遅れたり。」

 その瞬間、彼からいや、彼に世界の色が吸い込まれた。

 飛ぶ鳥は止まり、風の流れもなくなる。

 そう、私とたくや君以外の時間が止まってしまったのだ。

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