夏のおもひで月化粧
夜花灯して溢れた光が雲を朧に透かしています
誰がための月化粧
月白粉は香ってきます
わたしはよく眠るために
窓を開け夜の土草の香りを吸い込みます
鈴虫の声に耳を澄まします
夕立が降るようになり少し香りが柔らかに感じます
夜花灯して溢れた光は雲を朧に透かしていたのです
誰がためなのか月化粧
月白粉は香ってきます
雲がながれ
線香花火の火種のような月
目を細めると火花がチカチカしています
欠けてゆく火花はキラキラと
あの草花や虫たち
夏になると現れるあのこや
川辺に現れたあのこにも
降り注ぐように輝いて
その下にみな集まり
みな、めいめい、気の向くまま
ただ好きなことをしながら
過ごすのです
川辺の石を積んだり、木の実を集めて鉄砲玉にしたり
野の花の束をつくったり
わたしは大きな樹の根元に寝転んで瞼を閉じて
あの月がしているお化粧を教えてもらいたく
月白粉をしてもらう夢をみています
真白な香りに誘われて、、
まるでこれから筏に乗って川を下るみたいに
私の周りには石や木の実や、野花の束が置かれてゆくのです