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他愛のない日常譚α

今回はプラスαの物語です。

書いてみました。

僕は公園の自販機でMこーひーを買う。


これと言ったものが噴水しかない公園に、木製のベンチが一つある。


平日の朝、そこにはいつも同じ男が座っている。


いくつかわからないが、無口なおじさん。季節を問わず缶コーヒーを片手に、静かに空を見上げている。


彼の左隣、それより少し遅れて、高校生の僕が座るのが日課になっていた。


僕が声をかけるようになったのは、5月のことだった。


ベンチで横に座るようになって、一か月以上経っていた。最初はただの偶然だった。


でも、何度も顔を合わせていくうちに、こちらから話しかけたくなった。


「……おう」


それが彼の初めての返事だった。


低くて、静かな声。


だけどその朝、僕はいつもより学校に行く足取りが軽かった。


その日を境に少しずつ話すようになった。


「おじさん。今日も無職なの?」


「ああ」


「ああ、じゃなくてさ。仕事、探さないの?」


「今日、クビになった。仕事始めの日にクビになるようなやつになったらダメだぞ。」


「おじさん。説得力無さすぎだよ」


「後、仕事にはついとけよ。この年でニートは辛いぞ」


「おじさん、説得力ありすぎだよ。」


「俺のことはどうでもいいが、進路決まったのか?」


「まあ」


「本当のところは?」


「まだ」


「そうか」


それだけ言っておじさんは、いつものように飲み切った缶コーヒーを潰すと帰っていく。


それから四月、五月、六月――季節が変わっても、僕らは変わらなかった。


話すことはいつも他愛のないこと。今日の天気、昨日のニュース、勉強の愚痴。


おじさんは多くを語らないけど、ときどきぽつりと、印象的な言葉を落とす。


「俺も、昔は毎朝スーツ着て走ってたよ。今はやめたけどな」


「どうして仕事、辞めたんですか?」


「色々あってな。……でも、悪いことばかりでもない」


その「色々」は語られなかった。


でもそれでいいと思った。


無理に聞かなくても、ベンチに座っていれば、自然と必要な言葉が落ちてくる。


夏の終わり。


受験に向けて、僕はだんだん焦りはじめていた。


「正直、どこ受ければいいかわからなくて」


「なんでもいいさ。やりたいことあるなら、やればいい。なけりゃ、見つければいい」


「でも、そんなこと言ったら先生に怒られます」


「先生ってのはな、怒るためにいるんじゃない。悩む生徒を見ると、自分のこと思い出すから言いたくなるんだ」


「……おじさん、昔、先生だったとか?」


「まあ、そんなもんかもな」


あいまいな返事。


でも、なんだかそのときの表情は、少し誇らしげだった。


秋が来た頃、おじさんは言った。


「たぶん、明日からはもうここには来られない」


「えっ、どうしてですか?」


「新しい仕事が始まる。朝はもう、余裕がないかもな」


僕はうまく返事ができなかった。


あいさつも、缶コーヒーの話も、全部急に終わってしまう気がした。


「今まで、ありがとうございました」


そう言うと、おじさんは少し驚いたように僕を見て、それから目を細めて頷いた。


「じゃあな。進路、悩んでいいからな。……ちゃんと自分で決めろよ」


彼の最後の言葉が、耳に残った。


ある日、社会の先生が産休とのことで休みに入るため非常勤講師が来るとのことでだった。


教室のドアが開き、見慣れない先生が入ってくる。


スーツ姿のその人は、僕の方を見て一瞬だけ目を見開き、そしてすぐに静かに笑った。


「今日から、このクラスの現代社会を担当します。石田と言います」


間違いなかった。あの駅前のおじさんだった。


 放課後、僕は久しぶりに駅前のベンチに足を運んだ。


そこにはスーツ姿の石田先生が座っていて、やっぱり缶コーヒーを片手にしていた。


「先生になっても、缶コーヒーなんですね」


「お前はまだその余ったるいコーヒーか?」


その会話に、何かが終わって、また始まったような気がした。


赤色の夕日が、僕らのベンチを静かに照らしていた。











※ここは好きにかきます。

今日ほんとおになにもなかったんだよ

話をすることなんて

と言った感じになにもないと

物語がこんな感じでかきます。

ここを読んでる人もそろそろ限られたと思うので、高評価っていうのかなあれ。

できたらよろしくお願いします。

もう言わないんで。

この物語があなたの日常の一幕となれたら光栄です。

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