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0. はじめに

どうか読まないで、スルーしてください。

熱力学のエッセイを書きたかったですが、教科書の副読本、いや個人的なノートみたいなものになってしまいました。

対象は大学一年生の物理、化学、電気、機械科で、授業で本格的な教科書読んでいる方になってしまいました。

もっというと、その頃の私に向けて書いたピンポイントな文章です。


数式がないのは今回だけです。





 今回から熱力学のお話しをします。熱力学は、注目する物体(気体、液体、固体など)の圧力と体積、内部エネルギーと温度などの熱平衡状態における関係を導く理論体系です。比熱、剛性や星や溶鉱炉からの電磁波(光)の輻射、磁石や超伝導の特性とその転移などを扱います。


 とは言っても、漠然と熱力学のお話をしても、興味が沸きません。そこで、一連のお話では、水の気体(蒸気)、液体(水)、固体(氷)の相転移を理解することをゴールにします。


 このシリーズでは、以下の順番で説明します。見通しがつくように、簡単な解説をつけました。


1. 数学の準備

 主に微分について説明します。熱力学によると、自然はエントロピーや自由エネルギーという物理量が増大や減少する方向に変化が進み、最大、最小になる条件が熱平衡状態で、変化がおわります。それを探す方法を説明します。


2. エントロピー

 原子や電子の統計力学で定義するエントロピーを説明します。エントロピーは乱雑性を示す物理量で、熱平衡は、エントロピーが大きな方向に進みやすいです。


3. 孤立系のエントロピー

 孤立系とは、物理的に注目している対象が、他の対象と相互作用のない系です。孤立系では、エントロピーが最大になります。


4. 二つの系のエントロピー

 孤立系について説明したあとに、それを二つの部分に分けます。エネルギーや体積が二つの系にどのように分けられるか説明します。具体的には、二つの系のエントロピーの和が最大となる熱平衡状態で、二つの系の温度、圧力が等しくなります。


5. 開いた系の熱力学

 二つに分けた系のうち、片方がとても大きな系になった場合を検討します。そうすると、片方の大きな系の詳細は考えずに、温度や圧力だけを指定すればよくて、注目する物理系だけを計算できます。


6. 自由エネルギー

 開いた系の考え方を使うと、注目する物理的な対象のエネルギーにエントロピー項を加えたエネルギー、自由エネルギーが最小になる条件が熱平衡状態であることが示されます。


7. 理想気体への適用

 統計力学的な理想気体のエントロピーを計算します。この章の前に温度は定義されますが、その温度は理想気体の状態方程式で定義される温度、つまり通常私たちが使う温度であることを示します。


8. 相転移

 固体→液体→気体の順に、自由エネルギーが最小になる温度が変わる、つまり、ある温度で相転移が起こることを示します。


9. 補足: 原子が見つかる前の話

 本シリーズでは、エントロピーを原子・分子の統計力学に基づき導入します。歴史的には、原子が知られていなかったころからエントロピーは知られていて、熱力学は完成していました。ここでは、その19世紀にクラウジウスが考えたエントロピーを定義して、上で述べたことと同じになることを示します。また、熱力学第一、第二法則について説明します。最後にカルノーサイクル(蒸気機関)を用いて、熱を仕事に変換する効率を説明して終わりにします。


では、次回は、1. 数学の準備をします。




次回から、数式が登場します。



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