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三題噺もどき2

限定

作者: 狐彪

三題噺もどき―にひゃくろくじゅうさん。

 


「………んるさ……」

 喧しい電子音に目が覚めた。

 スマホからだ。ついでにバイブ機能も付いてくる。振動と音のダブルパンチだ。

 基本的に私はこんなに大音量じゃなくても起きる。なんなら、バイブだけでも起きる。

 ということは……

「…っるさい」

 原因だったスマホを引っ張り、アラームを止める。

 自分のスマホを置いてあったはずの場所―の反対側にあった。

 どうりでうるさいわけだ。そもそも私のスマホじゃなかったし。聞きなれない音だったから、分かってはいたが…喧しいなコイツ。

「…ん…」

「………」

 持ち主は未だに夢の中のようだ。

 起きないのが不思議なぐらいにうるさかったのに…。

 相変わらず起きるのはへたくそなようだ。

 1人暮らしが始まったら苦労するから、少しはアラームで起きる癖をつけろと言っていたのに……全くなってない。

「………」

 はぁ…しかしおかげで私は目が覚めたんだが……。

 二度寝する気分にもならないしなコレ…。

 鳴り響いていたアラームの音が、脳内でずっと流れ続けている。

「………」

 こうなると眠れない私は。

 寝る前とかに、脳内で音楽が鳴り続けると眠れなくなるタイプなもので。そういうこと、他の人はあんまりないのだろうか。

 考えすぎて眠れないなんてことはあるだろうけど…。今の状況に比べたら、そっちの方が案外すんなりと落ちる。考えたくなくなるからだろうけど。

 しかし、音はどうにも、眠れなくなる。

 なぜなのかまったくわからないが。

「………」

 しかし、今何時だ。

 若干寝不足感があるが、これはまぁ昨日寝るのが遅かったせいだし。多分。

 アラームの時間は基本的にはいじらないはずだから……。

「………」

 んー7時半。

 別にお腹空いてもないしなぁ。今日は特に予定もないし。外に出る予定…もないな。

 コイツも、今日は何もないと言っていたはずだし。

 なら、さっきのアラームを切っておけよな…。

 どうせあれだろう。

 習慣づけもかねて、アラームを慣らしているんだろうけど。

 起きなきゃ意味ないな。

「……ぐぅ…」

「………」

 ムカついたので起こしてやろうかとも思ったが、予定もないしいいか。

 昨日遅かったのは、コイツも一緒だし。

 お互い徹夜がしんどくなってきたなぁ。

 とはいえ、コイツはもっと若いのでそんなはずもなさそうだが。

 ま、そもそも睡眠時間が長い方なのだこいつは。

 朝は基本的におきないし。

「……ふぁ…」

 んー眠いには眠いんだよなあ。寝直すか…?

 目は覚めたものの、布団の中にはいるから、温かくなってきたし。眠くなっても仕方あるまい。

「………」

 だけど…なんか…。

 やろうと思っていたはずな気もするなぁ…と今になって思い始めた。

 なんだったか…昨日……の夜…。

 何かを、明日の朝にすればいいかと思って。

 寝ることを優先した気が……。

「………」

「………」

「………」

「………」

「あ」

 ぬるい微睡に落ちかけたところで思いだす。

 そうだった。

「………」

 頭までかぶっていた布団をはぎ、体を起こす。

 一気に体が冷えたが、眠気覚ましには丁度いい。

 起きてやることを思い出した。

「………」

 ぼんやりとしていた視界を、眼鏡をかけることで矯正する。

 布団から完全に抜け出し、立ち上がる。

 そのまま、近くに置いてあったスリッパをひっかけ、スタスタと歩く。

「………」

 向かう先には洗濯機。

 その前には、洗濯籠。

 2人分の洗濯ものが入ったそれは、カゴそのものが少々小さいのもあって。なんだかこんもりとしていた。

 普段は夜に回しているのだが、昨日は疲れすぎて、朝にしようと放置したのだ。

 まぁ、今日の分までまとめて夜に回すのでもいいのだが、量が増えるのは勘弁だ。

「………」

 カゴの中身を、適当に洗濯機の中へと放り込んでいく。

 一応バラバラにしながら入れては行くが、どうせ絡まるので、割と適当。

 全部入れ終わり。

 横に置いてある洗剤のボトルを手にし、蓋1杯分の液体を入れる。

 柔軟剤……。

「………」

 洗剤のボトルを置き、その横にある柔軟剤を手にする。

 匂いがきついものは苦手なのだが、仕方あるまい。

 何であんなに匂いがきついモノが多いんだろうなぁ…そうでないのもあれど。

「………」

 洗濯機のボタンを押し、設定をする。

 スタートのボタンを押して、電子掲示部分を確認。

 30分……。

 カフェオレでも飲んで待っておこう。

 そのうち、コイツも起きるだろう。


 :


 ピーピー

「………」

 終わったようだ。

 丁度飲み終わったマグカップを置き、洗濯機の下へと向かう。

 ちなみに、まだ寝ている。

「………」

 開いた洗濯機の中から、柔軟剤らしき匂いがする。

 まぁ、この程度ならいいさ。

「………」

 無心で洗濯籠の中に、洗濯物を移していく。

 ある程度ほぐしながら。

「……しょ…」

 中身がいっぱいになったカゴをもち、ベランダの方へと向かう。

 いつもは浴室乾燥を使っているが、今日は天気もいいし、たまには外に干そう。

 ついでに、コイツもそろそろ起こそう。

「………」

 ベランダのある窓に向かい、一度足元にカゴを置く。

 チラ―と布団から顔が出ていることを確認し。

 一気にカーテンを開く。

 おぉ、眩しい。

「………まぶ……」

「…おきろ…」

 少しは覚醒しただろうか。

 確認も程ほどに、私はベランダに出て洗濯物を干していく。

 少し小さめの物干し竿。この賃貸の据え置きらしいが、1人暮らし用にしても小さいよなぁ。

 おかげで、2人分を干すといっぱいいっぱいになる。

「……ん、ありがとう…」

「はいはい、起きた?」

 干し終え、空になったカゴを洗濯機前に戻す。

 未だぼうっとしてはいうようだが、目は覚めているようだ。

 お湯でも沸かしてやるか…。

「来週から1人なんだからいい加減おきんか…」

「…ぉん…」

 妹との期間限定二人暮らしも、もう残り少ないのだが。

 大丈夫だろうか……。



 お題:布団・物干し竿・洗剤

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