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がんばれしゅじんこう。
僕が、いけなかったの?
それとも、君がいけなかったの?
わからない。
今でも君は、目を覚まさない。
そう、あの日から……――。
「暇!」
とある一軒家の一室のベッドの上に寝っ転がっている本城蒼夜はそう叫んだ。
今日は月曜日でただ今の時間は午前10時、彼はどう見ても高校一年生くらいでこの時間ならば学校で授業を受けているはず。
「なんか見よ」
パソコンの電源を付ける。
「……あれっ? 画面が真っ暗になった?! ……えっ、なんだこのサイト?」
いきなりパソコンが付いたかと思うと、何もしていないのにおかしなサイトが現れた。
『願いが叶うテディベア』
そう書いてあるところをクリックしてみる。
例えば、東京都出身のRさん、20歳。Rは以前から気になっていた男がいたが、その男には彼女がいた。しかしどうしてもその男のことが好きだったためこのテディベアを購入したところ、その男の彼女は三日後……――。
「行方不明になった………恐っ! っていうか呪いの人形じゃん!」」
このテディベアは、どんな願いでも叶えてくれます(笑)
「かっこわらいっ?! しかもたとえが一つしかないじゃん! 値段は……500円?! ……以外に安い……。……ま、どーでもいーや。買う人なんていないんだろうねっ」
そしてパソコンを切ったときだった。
がたんっ。
「?」
部屋の外から音がきこえたのでドアを開いてみると、そこにはかなり大きな箱がラッピングされて置いてあった。
「…………」
なんだこれ。………。こんな箱、朝にはなかったな……この家にはまだ僕以外いないのに。
とりあえずどうしよう。
「開けてみてもいい……よな? それにしても大きな箱だなぁ…」
大きなリボンを丁寧に、というかすぐほどける縛り方だった、箱のふたを開けてみると……
「これは……さっきの怪しいサイトのテディベア?!」
その箱の中には、大人の男性を軽く越えるほどの巨大なテディベアが入っていた。
ちょっと待て……僕は注文した覚えはないし、それに仮に注文していたとしても届くのがはやすぎるし、何で部屋の前に置いてあるんだ。
「まさか、そのサイトを開いたら自動で注文されてしまう悪徳サイト?! こういうのってどうしたらいいのかな……やっぱ警察とか……でも大袈裟すぎるかな……あぁーもう! どうしたらいいかわかんないよ! ……………っっ??!!」
こういう具合で何となく一人で騒ぎ終わったあとに再度その箱の方を向くと、その箱の中には先程のテディベアではなく代わりに女の子が膝を抱えて目を閉じて座っていた。
……………。え? 女の子? なんで……。さっきは確かに大きなテディベアが……この子……寝てるのかな、可愛いけど……。
「あ、あのー…」
女の子を起こそうと、頬に触れようとしたときだった。
「ちょっと待って!!」
「い?!」
僕は部屋の壁に頭を打ち付けた。それは何故かといえばいきなり女の子が目を覚まして近づいた僕を突き飛ばしたからだった。
「良かったぁ……」
その女の子はホッとした様な動作を見せると、僕の方を向いて口を開いた。
「あのっ」
「……………」
「すみません」
「テ」
「?」
「テディベアが人間に……?」
「えっと」
「そんなことない、僕は夢を見ているんだ」
「ちょっと……!」
「さーて、大型ゴミは明日出せたかなぁ」
そういって部屋を立ち去ろうとしたとき。
「お願いです……!」
「え……?」
僕が後ろを向くと、女の子はその小さな両手で僕の腕を掴んでいた。
「優依歌を……妹を助けてください!!」