表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/18

9話 ボス前の休息

しばらくダンジョンを歩いていると声をかけられた。

女性だった。


「ちょっとその方達」


俺達を呼び止める女性。

髪はウェーブがかっていて服装はドレス。


いいとこの出だと直ぐに分かるが冒険者のする服装ではないが。

ここに居ることを考えたら冒険者なのだろう。


「どうしたんだ?」

「この(わたくし)リーゼロッテがパーティに入ってあげてもよくてよ」

「結構だ」


そう言って歩いていこうとするが


「お、お待ちになって!本当に私が不要だと仰るのですか?」

「あぁ別に人は足りてるから」


そう答えて行こうとすると


「あっ!」


ドタッ。

靴が壊れているのか倒れてしまうリーゼロッテと名乗った女性。


「大丈夫か?」


近くによってしゃがみこんで手を握って立たせようとしたら


「まぁ……素敵な人……」


俺の顔を覗き込んでくる。


「闇を抱えていそうなその瞳……吸い込まれそうですわ……」

「???」

「決めましたわ。この私をパーティに加えてください」


何言ってんだこの人頭でも打ったかよ。

立たせてから口を開く。


「パーティとはぐれたのか?」

「ち、違いますわ。私は追われているのです。悪い冒険者達に捕まってしまってそれで逃げてきたのです」


リーゼロッテの姿を見ると別に嘘ではなさそうだけど。


「俺たちはこのダンジョンを踏破するつもりだ。そこまでついてこられるというのなら同行させてもいいが」

「望むところですわ」


そんな事を言うリーゼロッテ。


「俺はザクロ」

「私のことはリゼとお呼びになってもらって構いませんわ王子様」


そう言ってくるリゼ。

その後にアヤメに目を向ける。


「あなたなんですか?その格好はしたないですね」

「はぁ?」


アヤメも戸惑っているようでその後にリゼはベアトリスにも目をやった。


「あなたはまぁいいでしょう」

「?」


首を傾げるベアトリス。

その後に俺と腕を組むリゼ。


「さぁ、行きましょう!お供のあなた方も特別に同行を許可します!」


なんて言ってるリゼ。

組んできた腕を振り払う。


「うざいよあんた」

「う、うざい……?」


目を真ん丸にするリゼ。


「アヤメも理由があってこんな際どい格好してるんだよ。それを非難してさ」


俺の裾を掴んでくるアヤメ。


「それ以上自分勝手に振る舞うなら叩き出す。分かってるか?あんたは同行を許可する立場じゃない」

「わ、分かりましたわ。これ以上余計なことは言いません。お許しください」


そう言って黙って俺たちの後を付いてくるようになるリゼ。


「ねぇ言い返してくれたのは嬉しかったけど言い過ぎじゃないかな?」


アヤメが心配そうな顔で聞いてくるが。


「別にいい。あんなのよりアヤメの方が大事だよ」

「だ、大事?私が?」

「当然だろ?(俺の活動に)付き合ってくれてるんだし」

「え?え?付き合ってたの?」


顔を赤くするアヤメ。


「ご、ごめん。気付かなかったよ」


その後チラチラ俺を見てくるアヤメ。


「気が早いかもしれないけど、わ、私っ、て赤ちゃん作れるの?」


手垢ちゃん?知らない言葉だ。


「よく分からないけど試してみる?」

「じゃあ夜待ってるから//////」


そう言って顔を俯けてしまうアヤメ。

手垢ちゃんって何?

手垢でモンスターでも作る黒魔術か何かかな。


「なになに?2人で何か作るんですか?」


会話に混ざってくるベア。


「ベアもやるか?」

「何だか分かりませんけど面白そうですね」

「え?いきなり3人は早いかな。私は最初はザクロと二人がいいよ//////」


ベアにはまた今度作ろうなと言って更に歩き続けていると中ボス部屋の前まできていたが。


「今日はここまでにするか。幸いこの辺りはモンスターがいないらしいし。近くには水場もある」


まるでここで休憩してくれと言わんばかりだがダンジョンにはこういうことが別に珍しくない。


「2人はテントを貼っててくれ」


ベアとアヤメにはそう指示して俺はリゼに目をやる。


「あんたはその辺でモンスターが来ないか監視しててくれ。どうせ何も来ないけどさ。それにテントの用意なんて出来ないだろう?」

「は、はい」


何故私がとか愚痴愚痴言いながらも見張りを始めたリゼ。

俺は今日の夕飯の準備を始める。


とは言え手持ちの肉焼き機なんかをセットして終わりだが。

その後テントを手伝ってキャンプの準備は終わった。

俺達は食事に入るが


「や、野蛮ですわ……」


リゼは1人立って喚いていた。


「ゴブリン肉?私にそんなものを食べろと?」

「要らなきゃ要らないでいい。あんたが倒れても俺たちはどうでもいいけど、食えない奴から死んでいく」


アヤメ達も別にいい顔はしてないけどそれでも食べてる。

それがダンジョンで野営をするという事だから。


「す、凄いですわねザクロ様は」


そう言って俺の横に座るリゼ。


「私などとは覚悟が違うのですね」


火の中に刺してある串に手を伸ばすリゼ。

そのまま食べ始める


「うげぇぇぇぇぇっ」


正直この肉は不味いから気持ちは分かる。


「水で流し込めばいい。初めは食べられないだろうし俺も無理だった」


アドバイスしておく。

みんな初めは食えないけど段々体が慣れる。


ベアトリスとアヤメは何もせず食べてるけどそれは慣れてるから。

その後無理矢理食べて気絶したリゼをベアに連れていかせてアヤメと残った。

この辺りはモンスターが来ないから一応の監視役だが


「寝てていいぞアヤメ」

「あ、そ、その赤ちゃんの事なんだけど//////」

「あー手垢ちゃんのことか。どうやって作るんだよ?」


そう聞くとアヤメは顔を赤らめながら俺の膝に座ってきた。


「大丈夫だよ。私は知ってるから……」


そう言ってその細い指を俺の太ももを滑らせてから俺を押し倒してきた。

あれ、俺もしかして何か勘違いしてる?


「可愛い赤ちゃん作ろうね//////それともザクロに似てカッコよくなるかなぁ?」


その後に聞こえた声は。


「愛してるからザクロ」


それだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ