17話 これが君の選んだ現実だよヨシヤ?
俺がリーゼロッテ達に別れを告げて幼なじみに会いに行こうと王城を出ようとしていた時だった。
「はぁ……はぁ……」
俺たちの前に現れたヨシヤとセージ。
「探したぜ?ザクロォ」
「まだ生きてたんだ」
俺はふと思ったことを呟いた。
とっくに朽ち果ててると思ってたのに生きてるから驚いた。
でも1人足りないことに気付く。
「パールは、死んだのかな?今となってはどうでもいいけど」
「知らねぇよ。お前のとこ行くつって出ていったきりだな」
そう言ってから俺に手を伸ばしてくるヨシヤ。
「知ってることを話せ!」
俺の胸ぐらを掴んできたヨシヤに言葉を返す。
「臭いんだよ離してくれ」
蹴り飛ばすとあっさりと離れるヨシヤ。
「ぐへっ!げほっ!」
既に大分ガタが来ているのだろう。
しゃがみこんでしまう。
それでも俺に話しかけてくる。
「聖なる鐘を売ってくれ。頼む。もう苦しいんだよずっと。お前が持ってるって聞いてここにきた。今の俺たちじゃ攻略許可が出なかった」
「そんなもの手に入れてどうするつもり?」
「この病気を治す」
病気?死体が病気になるなんて聞いたことがないけど。
まさかまだ死んでることに気付いてないのか?
「へー」
俺は1つ鐘を取り出す。
別に予備は10以上あるから1つくらいならいい。
「売ってくれ」
「金貨500でどうかな?」
俺はこいつらに給料をハネられまくった。それくらい持ってるはずだけど。
金貨500は二年遊んで暮らせる額だ。
「払う!」
そう言ってヨシヤは懐から皮袋を取りだし俺に投げてきた。
中身を確認すると金貨の山がジャラジャラ。
500以上は入ってる。
「馬鹿めザクロ!この鐘には金貨500以上の価値が絶対にあるぜ!」
そう叫び鐘を使うヨシヤ。
【聖なる鐘の声が鳴り響く。しかし効果対象はいない。聖なる鐘は消滅します】
聖なる鐘が消える。
「あ、あれ……」
ヨシヤは消えていった鐘を探す。
「お前騙しやがったな!金貨を返しやがれ!!!!」
掴みかかろうとしてくるヨシヤの手を取るのはレックスだった。
「俺の庭で暴れるなよカスが。言いがかりはやめておけ」
そう言ってヨシヤを突き飛ばす。
「がっ!」
尻もちをつくヨシヤ。
「ハエがいなくならねぇ。黒ずんだ皮膚も治らねぇ。お前偽物を渡しただろうが」
「治る訳ないじゃないか。病気じゃないんだから。肉体が死んでいってるだけだよ」
俺はそう答える。
「なん……だって?」
「お前既に死んでるんだよ?鐘で生き帰るとでも思ったの?」
「お、俺が……死んでる……?う、嘘だ……嘘だ……嘘だ……」
「お前がその道を選んだんだろ?ヨシヤ。あの時話を聞いておけば変わったかもな」
俺がそう言うとセージがヨシヤにつかみかかった。
「だから言ったでしょう?!ザクロを追放するのは話を聞いてからやるべきだって!」
「おめぇもあの時は聞くつもりなかったじゃねぇかよ!」
やがてヨシヤがセージを突き飛ばして俺にすがりついて来る。
「汚い手で触るなよ。さっき離せって言ったのを覚えてないのか?」
「お、おい!あんた国王だろ?!このまま国民の俺を見殺しにすんのかよ?!」
今度はレックスに詰め寄るヨシヤだが
「見殺し?もう死んでるのに見殺しとかあるのか?」
冷たく見放されて今度はヨシヤは俺に土下座する。
「悪かった。この通りだ!何とかしてくれ」
しゃがみこんで俺はヨシヤに顔を上げさせる。
「俺も助けてやりたいと思ってないこともないんだよね」
「ほ、本当か?!」
「でももう俺たちの間で繋がりが切れてるんだよ。お前たちが切ったからさ。もう腐らないようにもしてやれないんだよね」
繋がりが消えてる。これは本当のことだ。
もう俺たちの繋がりは解消されていて俺からはどうしようもできない。
「そ、そんな……俺たちはどうなるんだ?」
「どうなるって、後はもう黙って腐っていくのを見てるしかないよ?大変そうだね。自分が徐々に腐っていくのを見るしかできないってさ」
そう告げる。
それ以外に何があるの?とも付け加える。
「もうどうしようもないんだよ。手の施しようがないんだよね」
そう言って立ち上がる。
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!嫌だ嫌だ嫌だ!!!!そんなのいやだぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
セージは俺の話を聞いて1人で走り去っていく。
「お、おい……ま、待てよ……」
ヨシヤの声は届かない。
「あ、そうそう」
俺はヨシヤに声をかける。
「お前たちは俺に迷惑料払わせたけど、俺たちを呼び止めた迷惑料は請求しないから安心しなよ」
アヤメ達に目をやる。
「さ、行こっか。臨時収入の金貨500で遊ぼうよ」
後ろで叫ぶヨシヤの声を聞いて俺達は出発する。
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