13話 【追放した側視点】終わりの時がやってきた
sideヨシヤ。
「げほっ!がはっ!」
ヨシヤはある日起きた時体の異変を感じた。
吐血した。
今までになかったことだから動揺している。
「おいおい……」
自分の体を見ると1部黒く変色していた。
『あなたたちみんな死んでる……』
新人にそう言われたのを思い出した。
有り得ない。
そう言って無視した言葉だったが、その時、ドンドンドンドンドン!!!!
自分の部屋の扉を叩く音に答える。
「入れ」
「ヨシヤ。た、助けてよ……」
ボトリ。
入ってきたパールの右手の小指が落ちた。
「な、何で……」
その場に崩れ落ちるパール。
「何で落ちるの?あ、有り得ない……」
落ちた小指を拾って自分の手に付けようとするパールだけどつく訳もない。
「ははは……ねぇ……有り得ないよヨシヤ。何で落ちるの……」
「知らねぇよ。その指汚ぇから片しとけよお前」
「き、汚い?私の指だよ!?汚くなんてないよ?!」
パールがヨシヤに掴みかかろうとしたが
「うるせぇ。触れんなよ」
ドカッ!
パールを蹴りつけるヨシヤ。
「かはっ……」
壁に当たって立てなくなるパール。
いや、立つ気もないのかもしれない。
「私考えてたんだずっと。グローザに言われたこと。私達が全員死んでるってこと」
「有り得ねぇよ。じゃあ俺たちは何なんだ?死体が立って喋って魔法使って戦うのかよ?有り得ねぇだろうが」
そう否定するヨシヤに答えるパール。
「私ずっと引っかかってたことがある」
「なんだよ?」
「私達が正式にパーティを組んだあの日以前の記憶が曖昧なんだ」
「お前その前後は……」
考えるヨシヤ。
「あれ……俺たち何してた?」
「ほら思い出せないじゃん!」
責め立てるパール。
「私にあるのはザクロの家で目覚めた記憶だけ!そこでザクロに3人は気絶して運ばれてきたんだよとか説明されたのを覚えてる。でもそんな記憶全然掘り出せない」
イライラしているパール。
「あんな説明嘘で私達はあの時に死んだんだと思ってる」
「有り得ねぇだろ?あいつが?俺達を使い魔にしてたってことかよ?」
必死に否定するヨシヤだがパールは気付いていた。
こんなに否定したがるのは可能性があるから。
そんな可能性ないと思うなら鼻で笑っておけばいいのにそうしない。
「お前聞いたことあんのかよ?ネクロマンサーが年単位で死体を維持するなんて。どれだけありえない事か分かるだろ?」
ヨシヤがパールを指さした。
「お前聖女なら分かるよなぁ?!魔法やスキルをずっと維持し続ける事の難しさが!お前1日だけでも24時間ぶっ通しでヒールかけ続けれるのかよ?!無理だろ?!それを数年間?無理に決まってる!!!!」
有り得ない有り得ない。
そう繰り返しながらヨシヤはパールに言い続ける。
「死体には治癒能力なんかがねぇし魔力も作り出せねぇよ!だからそれらをネクロマンサーは補わないといけねぇ!お前が言ってることはあいつがそれを年単位で俺達に供給し続けたってことだぞ?!どれだけ有り得ねぇ事か分かるだろうが!」
「それをやってたんでしょ……ザクロは」
その場に俯くパール。
「私気付いてた。もう魔力なんてここ数日増えてない。減る一方だって」
聖女は他のジョブよりも魔力を使う。
だから増減が分かりやすい。
「ザクロが抜けてからだよ。体から力だけが無くなっていくような気がしたのは」
そう言って立ち上がるパール。
ナイフを手に持っていた。
「あんたを殺してザクロに許してもらう」
「しょ、正気かよ?お前」
「あんたの首持ってけばザクロならきっと許してくれる。私にはこれしかない」
その時セージが部屋に入ってくる。
「待ちなさいなパール」
「ほっときなさいよ!あんただって分かるでしょ?日に日に死に向かってる感覚が!」
「分かります。ですが冷静になるべきです」
そう口にしてセージは説明する。
「聖なる鐘を探しに行きましょう。あらゆる状態異常を治すと言われているアイテム。あれにかけるしかありませんよ」
「俺は乗るぜ」
ヨシヤはそう言ってセージの隣に立つ。
「お前はどうするよ?」
「私はザクロのとこ行く。治るわけないじゃん。あいつじゃないと治せないよ」
そうかよ。
そう言い残してヨシヤ達は部屋を出ていく。
残されたパールは現状を伝えるためにも落ちてしまった小指をポケットにしまいこんで部屋を出る。
既に腐り始めた肉体。
最近僅かな腐敗臭がしているのか野犬に噛まれそうになる事が増えている。
野犬に襲われたくないし屋根を移動することにしたパールだったが、生憎雨が降っていたせいでうっかり足を滑らせて落ちる。
その下にはゴミ箱。更に鋭く尖った木材が突き出ている。
それは足を踏み外したパールの右目を貫いていた。
「いたい……」
それだけで済ませる自分に驚く。
もう自分は人間じゃなかったんだって改めて思い知らされる。
落ちた拍子に右足が取れた。
「どうして私がこんな目に……」
落ちたそれを抱えて彼女が立ち上がるとするも思ったように立ち上がれない。
「ザクロ……どこにいるのよ……早く助けろよ……仲間でしょ私達……この私が死にそうなのよ?助けに来いよ……」
その声は誰かの耳に届くことは無い。
そんなパールの周りを野犬が囲う。
「いたい……」
野犬達がパールの体に牙を立てる。
抵抗する力なんて残っていない。
「あのクズの話を聞いておけばよかった。多分本当のこと話してくれたんだろうな。でも私たちは信じなかったかな?分かんないや……」
パールは最期に自分の思いを言葉にした。
「地獄に落ちろよぉ……ヨシヤ……死ね……死ね、死ね。あんたのせいだ……呪ってやる……地獄の底からあんたを呪ってやる……あの世でもお前のこと追いかけ回してやるからな……」
こうしてパールは人知れず2度目の死を迎えることになった。
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