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帝国軍、反撃開始

 弓兵二百歩兵五十を率いているラーゼ軍の指揮官は緊張した面持ちで騎兵が来るのを待ち構えていた。もしシビルが言っていることが外れていたらこちらは終わりといえる状況だ。既に一兵すら惜しいくらい兵士は貴重だ。


「本当に来るんだろうな……もし外れたら」


 シビルの言うことは理路整然としており嘘をついているようには見えなかった。巨大岩でこちらの窮地を救っていることからも信じるに値すると思っていてもやはり不安だった。


「隊長……本当に騎兵が来るんですか?」


「信じろ。確かな情報だ」


 部下の不安そうな声に、返事をする。メーティスの情報漏洩を防ぐために相手から密告としか兵士には伝えていない。

 指揮官は懐中時計の時間を見ると顔を引き締める。聞いていた戦闘時刻だ。少しずつ馬蹄の音が前方から聞こえてくる。


「歩兵構え!」


 一列目に居る歩兵達は拒馬の後ろに立つと一斉に槍を構える。

 前から凄い勢いで走って来るのはマティアス騎兵二百。シビルと言っていた通りであった。


「弓兵構え! 放てェ!」


 指揮官の声と共に、二百の弓の雨が騎兵に降り注ぐ。


「ぐあああ!」


「なんでこんなに人数が!?」


 自分達より多いラーゼ軍に驚きが隠せないマティアス軍。

 矢の雨により勢いを失った馬たちは拒馬の前に動きを止める。


「今だ、火矢を放て!」


 指揮官の言葉と同時に大量の火矢が放たれる。それを受け先陣を切っていた騎兵が皆炎に包まれる。


「うあああああああああああああ! 熱い! 下に油が!」


 馬達も熱さでパニックになり飼い主を放り出すとそのまま何処かへ逃げ去っていった。パニックになった馬にぶつかり、後方の騎兵達も一気に隊列が崩れる。その隙を帝国軍は見逃さない。


「馬から落ちた騎兵を仕留めろ! 一気に減らせ!」


 元々個々の強さではマティアス軍に勝っていたラーゼ軍である。昨日の無念を晴らさんとばかりに槍で敵を貫いた。

 騎兵の一番の利点はその速度にある。拒馬で動きを止められたうえ隊列の崩された騎兵達は矢の雨に沈んでいった。


「「「よしっ! 勝ったぞーー!」」」


 兵士達が雄たけびを上げる。昨日の惜敗を自らの手で晴らせたのが嬉しいのか喜びが感じられた。


「お前達、すぐに移動するぞ!」


「えっ? 今戦ったばかりですよ?」


 指揮官の言葉に、驚く兵士達。


「馬鹿野郎! どれだけ人数差あると思っているんだ! 弓兵が必要な場所は山のようにある。行くぞ!」


 すぐさま指揮官は兵士を連れて移動を行う。次に移動するべき場所もシビルから聞いているからだ。


「シビルという若者……。なんというスキルだ。一人の英雄でも戦闘は一変するのは確かだ。だが、彼一人でもいれば、戦闘は大きく変わる」


 指揮官は敵に回らなくてよかったと心底安堵しながらもシビルの言葉を信じて、次の場所へ移動していった。

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