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怪しいプレイしている訳じゃないんですよ

 俺は太陽が顔を出したころ、帝国騎士団の布陣先に足を運ぶ。軍隊の朝は早いので、皆既に起きて各自鍛錬をしていた。


「イヴ、おはよう!」


 俺はその中でも一際目立つ美しい金髪を見つけ声をかける。俺の声で振り向いた彼女は人形のように整った顔で微笑む。


「おはよう、シビル」


 イヴは顔を洗っていたのだろう、顔を布で拭く。


「軍人になってからすっかり朝が早くなっちゃったよ」


「それは良いことだよ。ねえ、今日はあの銀髪の子と一緒じゃないの?」


「あ、シャロン? 違うよ。鍛錬してるんじゃないかな」


 顔は笑っているけど、何か違和感が……気のせいだろうか。


「シビルって、前も可愛い女の子と居たよね。商人の子。もしかしてシビルって手が早いのかな? あまりそういうのは感心しないなあ」

「ち、違うよ! ネオンとは商売仲間だし、シャロンも同じ軍の仲間ってだけ! ダイヤって男もいただろう!?」


 というか俺はなぜこんな良い訳じみたことを言っているのだろう? 


「本当に? 駄目だよ? 女の子泣かせたりしちゃ」


「しないよ、そんなこと! 付き合ったことすらないのに、手が早いなんて……」


 俺は咄嗟に暴露しなくても良いことまで言ってしまう。何やってるんだ俺は。


「へー、そうなんだ」


 にんまりと笑うイヴ。可愛いけど、今は笑わなくていいぞ。正解はスルーだ。


「まあ、気を付けてね。シャロンさんって、どう言う人なの?」


「とても強くて頼りになる。まあ少し不愛想で、短気ですぐにキレて大剣を振り回すお茶目な一面があるんだけど」


「そ、それは……だいぶお茶目ね」


「けど、あれで中々情に厚いんだよ。男前なところもあるしね。ガルーラン砦の功績で帝国騎士団の推薦状も貰えそうだったのに、俺と共にメルカッツの援軍に来てくれた。出世に興味無いんだろうな。変わってるよ」


 スキルも『聖騎士』だし、頑張ればいくらでも出世できそうなものだが。


「それって本当に出世に興味無かったのかな。他に何か興味あるものがあったのかも」


「他に興味のあるもの……。うーん、わかんないな。プライベートはあまり知らないし。いつも大剣で鍛錬をしているイメージが強い」


 さっきからシャロンの話ばかりだ。これで良いのだろうか。話変えよう。


「けど昨日は本当、イヴが無事でよかったよ」


「ありがとう。わざわざ助けに来てくれたんだよね? シビルは私がピンチの時、いっつも助けに来てくれるね」


「前にも言っただろう。今度は俺が助けるって」


「けど、デルクールでも助けに来てくれたじゃない。もうこっちばかり助けられちゃってるよ」


「何度でも助けるよ。そのために強くなったんだ。とは言っても武器が強いだけで俺自身は弱いんだけどね……」


「一目見たらわかるもん。凄い武器だって」


『確かに俺を使った相棒は強いが、俺が奪われたらやばいよなー。俺を盗られないように気を付けた方がいいぜ?』


 ランドールが心配そうに言う。実際俺自身が弱いことがばれたら一番に盗まれそうだ。俺が敵ならそうするね。


『ああ。分かっている』


 紐でも付けておこうかな。そんなことしたら電流流されそうだ。ランドールさん、一度認めてくれてからは優しいんだよな。一度デレると、もうツンツンしないタイプだわ、こいつ。


「ああああああああああああああああああああああああああ!」


 ランドールから電流が流れる。こいつ、心を……!


「だ、大丈夫!?」


 突然電流を流し始めるやばい奴である俺を心配してくれる。優しさが心にしみるが、説明しないとヤバいプレイしてるやつだと思われてしまう。


「驚かせてごめん。この弓はランドールの悠弓と言って、意思のある魔法武器なんだ。さっきはランドールから電流を流されたんだ」


「えっ、なんで流されたの? 仲悪いの?」


 当たり前の疑問である。


「なんでだろう……ランドールは優しいね、って思っただけなのに照れたランドールが、あああああああああああああ!」


 再び電流が流れる。しかもさっきより強い! マッサージレベルじゃない。爺ちゃんなら、そのままあの世に逝くレベルの電流である。


「分かった! すまん、ランドール。俺が変なことを考えたからです! 落ち着こう!」


 俺の必死の説得でランドールは電流を流すのを止める。


『誰がデレてるって?』

『調子乗ってすみませんでした』

『よろしい』


 これではどちらが上か全くわからん。いやまあ勿論ランドールさんの方が上なんですけどね。


「凄い武器持ってるね……シビル」


 さっきと凄いの意味が違う気がする……。怪しい武器を見るような目で見ているような……。


「いや、凄い武器だね!見ただけで良いものだって分かる。それを使いこなせるだけでも凄いよ!」


 急いでフォローをし始めるイヴ。


「ありがとう。俺にはもったいないくらい凄い武器なんだ。武器だけでなく、俺自身も強くなりたいけど……こいつとやっていくよ」


「うん。ただ武器の強さに胡坐を掻くんじゃなくて弓の鍛錬を積めばきっとそれはシビル自身も成長できるよ!」


「ああ。最近思うんだ。メーティスを使った予知や戦略でも役には立てるけど、誰かを助けるためには自分の戦闘力がどうしても必要な時も来る。その時後悔しないために……武器に頼ってでも俺は自分を磨くよ」


「ふふ、立派な軍人になってきたね。私達は人と戦うことも多いけど、多くの人を救える職業でもあるんだから。貴方のスキルなら多くの人を救えるって私は今でも本気で思ってるからね?」


「大きな期待を背負ってしまったな」


 そう言って俺は笑う。

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