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何が出るかな

「シビルと言います。では早速。なぜあんな嫌っているんですか?」


「若い頃に、ヨルバ様にきついお灸を据えられたらしいですよ。詳細は話してくれないから分かりませんが」


 ヨルバ様って俺の時もそうだけど、結構無茶するもんなあ。


「なるほど。私はまだ詳細を伺ってないのですが、今回の戦の原因はなんなのですか?」


「今回の戦の原因はラーゼ領にあるニコル鉱山から金が出たことが原因なんですよ」


 コールマンは苦々しい声色で言う。


「確かに金(きん)は価値があると思いますが、戦争の原因になるほどですか」


 俺の言葉を聞き、コールマンは僅かに眉が上がる。


「……そうなんですよ」


 一瞬間があった気がする。怪しいぞ、コールマン。別に理由あるだろ、これ。


『今回の戦の原因はニコル鉱山から金が出たことが原因?』

『ノー』


 ノーなのか。一体何が原因なんだ?


「コールマンさん、金が原因ではないですね? 私には嘘を見分けるスキルがあるんですよ」


 それを聞いたコールマンが両手を上げる。


「降参です。軍師だけあって、戦闘系のスキルじゃありませんでしたか」


「何が原因ですか?」


「金以外の何が出たと思います?」


 質問を質問で返すなと言いたいが、おとなしく考える。


『銀が出た?』

『ノー』

『銅が出た?』

『ノー』


うーん、分からん。鉱山だから、鉱物だとは思うんだが。


『プラチナ?』

『ノー』

『ミスリル?』

『イエス』


 ニコル鉱山から出たのはミスリルか!


 俺はその瞬間に戦争の原因を理解した。ミスリルとは魔力伝導率の高い特殊金属だ。銀のように美しくいつまでも曇ることはない。ミスリルで打たれた武器はその強さと美しさから驚くべき値段で取引される。


「ニコル鉱山から出たのは……ミスリル鋼ですね」


 それを聞いたコールマンは息を呑んだ。


「参りました。ただ嘘が分かるだけではないらしいですね。この情報はラーゼ領でも上しか知りません。一般には金が出たと伝えてあるのです」


 コールマン、意外と上官だったのか。


「今回の戦は、ミスリルが原因なんですね」


「はい。勿論他にも鉱物は出てますが、アルテミアの奴等がどこからかミスリル鋼の情報を嗅ぎつけたらしく。ミスリルと聞いた瞬間、ニコル鉱山はアルテミアの領土と主張してきたんですよ」


 忌々し気にコールマンが溜息を吐く。


 ラーゼ領はアルテミア王国のマティアス領に接しているが、その国境付近にあるニコル鉱山からミスリルが出たようだ。どこからかその情報を嗅ぎつけたマティアス領のマリガン子爵がニコル鉱山の所有権を主張し始めたらしい。マリガン子爵曰く、鉱山の麓はマティアス領であり、所有権はうちにもある。鉱山の土地は譲っているのだから獲れるミスリルはこちらによこせと言っているようだ。


 当然そんな暴論を聞き入れる訳も無く、戦争になったようだ。


「元々うちとマティアスは仲が悪いんですが、これほどの大戦になったのは初めてです」

 

 コールマンは溜息を吐いた。

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