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大切な人を救う力を

 俺の実力じゃ、援護すら出来ねえのかよ!

 目の前ではハイオーガと、シャロンが凄まじい戦いを繰り広げている。そのレベルの高い攻防に周りが援護することすらできなかった。


 だが、やはり少しハイオーガの方がシャロンより上手だった。シャロンの一撃がハイオーガの右わき腹を斬り裂いた。だが、次の瞬間ハイオーガは棍棒での突きがシャロンに襲い掛かる。その一撃を防ぎきることができず、シャロンが大きく吹き飛ばされた。大剣を間に挟んでいたため、死んではいないが、軽い傷ではないのは明らかであった。


「シャロン!」


 俺は叫び声をあげると、とっさに砦の壁を下りてシャロンの元へ向かおうと動く。


「何してるんだ、シビル!」


 だが、俺のその行動を止めたのはダイヤであった。


「止めるな! シャロンを助けないと!」


「君が向かって何になるんだ! 君が向かっても、僕が向かっても、あの戦闘にはとてもじゃないが参加なんてできない。足を引っ張るだけじゃないか!」


 確かにダイヤの言うことは的を射ていた。俺ではあの戦闘に割って入っても一瞬で頭部が失われるだけだろう。


「そ、それは……」


 返す言葉がない。話している間にも、ハイオーガがゆっくりと、膝をつくシャロンの元に向かっている。


「俺は何もできないのかよ……!何が軍師だ! 大事な時に何もできなくて何が隊長だ!」


 俺は兵士達の目も気にせずに叫ぶ。彼女を、皆を救いたかった。最初は嘘だった天才軍師という肩書を本当にして、皆を助けたかった。


「俺が……俺の手で救うんだ! 力が欲しい! 仲間を、大切な人を救う力を!」


 俺が叫ぶと同時に、ランドールの悠弓が赤色に光り輝いた。その眩しい光が俺の右腕にも宿り奇妙な紋章が手の甲に刻まれる。

 手から、弓から凄まじい魔力が溢れ出した。


「す、凄い魔力だ……! シビルは魔法使いでもないのに」


 ダイヤが溢れ出す魔力に息を呑む。

 本能的に感じた。ランドールが本当の意味で俺を認めてくれたのだと。


『よう、相棒! お前の言葉、確かに聞いたぜ! そういう熱い男を俺は待ってたのよ!』


 脳内に謎の言葉が響き渡る。メ、メーティス!? それとも……!


『お前は?』


『もうわかってんだろう? ランドールさ! 俺の声は俺が真の意味で認めた者にしか届かねえ! だが、喋ってる時間はねえ。俺達の強さ、見せてやろうぜ。調整は全て俺がしてやる。お前はありったけの魔力を込めるだけでいい』


「大事な人を……守りたいんだ! 力を貸してくれ、ランドール!」


 ランドールの言葉を聞き、俺がありったけの魔力の弓に流し込む。


俺が弦を引くと、魔力で生まれた矢がいつの間にかあった。外す気がしない。


「シャロン、俺を信じて突っ込め!」


 俺の言葉を聞いたシャロンが笑う。


「おそいぞ、雑魚隊長」


 悪態をつく余裕はまだあるらしい。

 シャロンがハイオーガに襲い掛かると同時に俺は矢を放った。俺の目では追うことすらできない閃光の如き速度で、ハイオーガの棍棒を持つ右腕を消し飛ばした。


「グアアアアア!」


 突如、右腕を消し飛ばされたハイオーガが悲鳴を上げる。


「やるじゃないか、雑魚隊長! まだまだだがな!」


 シャロンはその隙を見逃さない。武器を失ったハイオーガの首を一瞬で斬り飛ばした。


「本当に……お前は格好良い女だよ」


 ハイオーガの血に塗れつつも、堂々と笑い佇む彼女はまるで絵画のような美しさがあった。

 シャロンに見惚れる自分に喝を入れ、大声で叫ぶ。


「シャロンがハイオーガを討ち取った! このまま一気に攻め立てろ!」


 「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおお!」」」」


 その吉報を聞いた兵士達から、喜びの声が上がる。この勝報は皆に希望と力を与えた。ハイオーガというトップを失った魔物達は烏合の衆に成り下がる。先ほどまでの殺気はなりをひそめ、徐々に逃亡する魔物すら現れる。

 わが砦が、本当の意味で難攻不落の砦となった記念日と言えるだろう。






 魔物達が散り散りに森に逃げ去った後、皆は全身血塗れになりつつも、その顔には勝利の喜びが溢れていた。


「シビル、代表として締めてよ。皆待ってる」


 隣に居たダイヤが俺に言う。皆の様子を伺うと、こちらを皆見ていた。俺は小さく咳ばらいをすると、砦中央の司令塔に上る。


「皆、無傷とはいかなかっただろう。どこの持ち場も死闘だったと思う。俺を信じて戦ってくれてありがとう! この戦い……俺達の勝利だ!」


 俺は右手を上げて叫ぶ。


「「「「うおおおおおおおおおおおお!」」」」


 皆も喜びから笑顔で叫んだ。


「皆、隊長に敬礼!」


 司令官の爺さんが叫び、右手を上げ敬礼のポーズを取る。それを聞いた兵士達も皆俺に敬礼のポーズを取る。


「「「敬礼!」」」


 皆の行動に俺は不覚にもうるっときてしまった。


『すっかり信頼を勝ち取ったみてえだな。俺の相棒ならそれくらいして貰わないと困るけどよ』


 脳内にランドールの声が響き渡る。


『誰目線だ』


 俺は小さく笑った。

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― 新着の感想 ―
[良い点] おおお、ついにランドールきたか!! しかも強そうな男性寄りで、頼もしいですね!
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