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勝ち戦を始めよう

 そして遂に襲撃当日が訪れる。

 兵士達は皆少し緊張した雰囲気を纏い、広場に集まった。砦の司令官が前に出て話をしている。だが、皆落ち着かないのか話を聞いていない。


「それじゃあ、最後に隊長にも話してもらおうかね」


「俺!?」


 爺さんの突然のパスに素で驚きの声を上げる。


「ここを仕切っておるのは現在君じゃ。君の言葉を、皆に聞かせてやってくれ」


 真剣な顔でそう告げる司令官に、俺は頷いた。

 俺は皆の前に立つと大きく息を吸う。


「今日もいつも通り完勝する! 敵はいつもより少しだけ多い。だが、俺には既に勝利は見えている。なので、皆恐れることなく、いつも通り戦ってくれ。俺達は皆強くなった! そして勝つための仕掛けも沢山作ってきた! 本日、この砦は本当の意味で難攻不落の名を冠するに相応しい鉄壁の砦となる! お前ら、武器を取れ!」


 俺の檄を聞いた兵士達が武器を握り締め、その手を掲げる。


「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」」」」


 兵士達の雄たけびが砦中に響き渡る。砦の命運を決める戦いが始まる。






 兵士達は各自配置につき、魔物達の襲撃を待ち構えていた。襲撃の時刻は十時頃。後十五分も無く時は近い。


「そろそろだな……」


 俺が呟くと、森から大きな雄たけびが聞こえた。そして次の瞬間、森が大きく揺れる。

 それを見た兵士達の体が強張る。


「予定通りに動け! 用意しろオ!」


「ヘイ!」


 西門を指揮する兵士が大声で指示を出す。その言葉と同時に森から大量の魔物達が溢れ出す。魔物達はいつもよりまとまりが感じられる。ハイオーガのカリスマ性に引っ張られているのだろうか。


「グオオオオオオオオオオオオオオ!」


 底冷えするような叫び声が先頭の魔物から発される。一目でその魔物があの群れの長であるハイオーガであることが分かった。それほど圧倒的な禍々しい雰囲気を纏っていた。


「あれか……」


 俺は苦笑いしかできなかった。二度と会いたくないと思っていたグランクロコダイル級の魔物である。

 鍛え上げられ膨張した赤い筋肉の鎧を身に纏う大鬼『ハイオーガ』である。その頭部には魔力を感じさせる黒い角が聳え立っている。


 その手には大きな鉄の棍棒が握られていた。周囲のオーガは統率の取れた兵士のような動きでハイオーガに付き従っている。


「あ……あれがハイオーガか……」


 兵士が震えた声で呟く。


「大丈夫、シビル? 皆怖がっちゃうんじゃ?」


 隣に居たダイヤが兵士達の士気を気にしている。ハイオーガに怯え、力が出せなかったら勝負にならないからだ。


「大丈夫だ。ダイヤ、お前もそろそろ西門へ向かってくれ。お前の力が必要だ。そして……俺達はハイオーガ如きに怯え、震えて隠れるような臆病者じゃねえ!」


 俺はそう言うと、壁の上から魔物達を見つめる。


「わざわざ来てくださった魔物達にプレゼントをくれてやれ!」


「「「「「応!」」」」」


 俺の言葉と共に大量の矢の雨が魔物達に降り注ぐ。前方は大量の魔物で埋まっている。どこを射ても魔物に当たる状態である。


「開戦だ!」

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