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勝てるのか

 襲撃まで三日と迫っていた日、砦に来訪者が現れる。


「間に合ったか!」


 俺は安堵の息を吐きつつ、南門に向かう。そこには大量の武器を荷馬車に乗せたネオンが立っていた。


「久しぶりね、シビル」


「助かったよ、ネオン」


 俺が笑うと、ネオンが呆れたような顔をする。


「久しぶりの連絡かと思ったら、武器を揃えてくれだなんて……。しかもスタンピード、あんた呪われてるんじゃない?」


「いやあ、ネオンしか頼れる人が居なくてな。世話をかける」


 俺の言葉を聞いて、どこか嬉しそうだ。


「まあいいわ。載ってる武器、全部あんたのよ」


 ネオンの荷馬車に載っている武器を降ろし、ダイヤと共に検品する。


「ん……頼んだ量より少し多くないか?」


 俺は予めメーティスに相場を尋ね、ぎりぎりまで大量に注文した。だが、それよりも多いのだ。


「安かったのよ……って言いたいけど、メーティスがあれば分かっちゃうか。少しはサービスよ。生き残りなさいよ」


 どうやらサービスしてくれたらしい。そんな優しくて商人としてやっていけるのか心配になってくる。


「ありがとう、ネオン。ここが落ちたらバラックにも魔物が向かう。避難しておいた方がいいぞ」


「あら、シビルともあろうお方が、負ける前提で策を練ってるのかしら?」


 そう言われると弱い。


「必ず勝つさ。バラックで安心して勝報を待ってな」


「良い返事ね。安心して待ってるわ」


 ネオンはそう言って笑う。自分達軍人の勝ち負けで彼女のような民間人の生死だけ決まるのだ。そう思うと負けることなど許されないだろう。


「これで戦えるよ……」


 俺は大量の武器を見て、そう呟いた。






 襲撃前日、その夜はいつもより豪勢な食事を振舞い、皆明日に備えていた。食後は、主要メンバーで会議室に集まり、計画の確認を行う。四方を守る部隊のトップと、シャロン、ダイヤ、俺だ。激戦区である南門のトップはクラインだ。


「僕は北門がいいんだけどなあ」


 クラインさんが愚痴をこぼす。


「駄目です。貴方は南門の指揮を執って貰います。俺とシャロンも南門にいるので大丈夫ですよ」


 俺ははっきりと告げる。メーティスさん曰く、クラインは南門がいいらしい。強いからか?


「シャロンと他数名でハイオーガに当たらせます。他は死なないことを中心に戦ってください。頭を潰せば、このスタンピードも終わります。それまで生き残ってください」


「正直に言ってくれ。この(いくさ)勝てるのか?」


 西門の指揮官である兵士が俺に尋ねる。


「勿論、この戦は勝ち戦です。安心してください。必ず、勝てます」


 俺は断言する。それを聞いて、皆どこか安堵したような顔をする。


「隊長を信じようかね」


 皆、そう言って笑い、そのまま解散となった。


「断言したのは良かったな。あれで皆安心したはずだ。だが、本当なのか?」


 解散後も部屋に残ったシャロンが俺に尋ねる。


「勿論。メーティスもこの戦は勝てると言っている。だから、安心しろ」


「そうか……。私にかかっているな、この(いくさ)。ハイオーガの首を討ち取り、いっきに昇進してやろう」


 大剣を持ち、シャロンが笑う。


「君なら勝てるよ、シャロン」


「当り前だ、明日は祝杯の準備でもしておきな。雑魚隊長」


 シャロンはそう言うと会議室を去っていった。

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