戦の準備
翌日、朝食後皆を訓練場に集める。皆、何が起こるんだろうと少し騒めいている。だが、前のように俺を見下すような視線は一つもない。これがこの数か月で勝ち取ったもの最も価値のあるものだろう。
「なんの話だろうなあ」
「さあな。良いニュースならいいんだがな」
兵士達はのんびりと構えていた。
俺はその前に堂々と姿を現す。俺の真剣な顔に気付いたのか、兵士達が皆真剣な顔色に変わる。
「皆、朝からすまないな。だが、大事な話がある」
俺は、落ち着いて、だが、良く通るような声を出すように努める。
「今から十五日後。襲撃がある。だが、今までのような軽い襲撃ではない。俺がこの砦に来て、一番の戦になるだろう。数は千体。そしてその魔物達を率いるのはハイオーガ、B級魔物だ」
その言葉を聞いて、兵士達が騒ぎ始める。
「千だって!? こっちは二百人しか居ないんだぞ!? 戦いになるわけがない!」
「いくら隊長が凄くたって……そんな戦力差があったら……」
今までの勝利で、兵士達の士気は高いはずだった。だが、千という数、そして単体で町をも滅ぼせるB級魔物の存在を聞き、ざわめき始める。
「俺は負ける戦は絶対にしない。俺のスキルにより敵の戦力、時期も全て把握している! 俺達なら! 勝てる! 俺が天才軍師である俺が保証しよう! 我らは千体のスタンピードも乗り越え、ここは名実共に難攻不落の砦として生まれ変わる! 皆、自分を信じられないのなら、俺を信じろ。不敗の俺を! 必ずお前達に勝利を捧げる!」
俺は叫ぶと右腕を天に挙げる。
「僕はシビルを信じる!」
ダイヤが叫ぶ。
「どうせ行くところなど私達にはないんだ。私も、シビルを信じよう」
シャロンが良く通る綺麗な声で言う。それを聞いた兵士達の目に闘志が宿る。
戦える、兵士達の目を見て確信した。
「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおお!」」」」」」
兵士達の雄たけびが響く。
魔物達と俺達の生存競争が今始まったのだ。
ダイヤは汗をかきながら、魔力が尽きる寸前まで壁の強化に当たって貰っている。既に敵がどういう戦力で来るかは確認している。
正門である森に面した南門に三百だ。東、西門には二百五十体ずつ。そして北門に二百体だ。
奴等の主戦力であるオーガ達とハイオーガは勿論南門から襲ってくるらしい。
兵士達に配置を伝えた後、その守備位置に来るであろう魔物達を伝える。
「そんなに来るのかよ……」
「その大量の魔物を仕留めるための仕掛けを今から仕込む。安心しろ、いつものように狩りをする。人間の怖さを教えてやる」
俺は不敵に笑う。それを見て、兵士達が息を呑む。
「隊長、指示が板についてきたな」
「当り前だろう? どれだけ皆と戦ったと思っているんだ」
「ちげえねえ」
兵士がそう言って笑った。
上は不安を顔に出したら、駄目なんだよ……お前達が俺を信じて戦ってもらうにはな!
内心は不安で死にそうであったが、努めて飄々とした態度でいるようにした。
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