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良き友

「顔色悪いね、シビル。どうかしたの?」


 朝食の時間、目の下の隈を見たダイヤが心配そうに尋ねてきた。


「勉強しすぎたんだ」


「……ふーん。まあ無理しないようにね」


 ダイヤは何か言いたげにするも、なにも言わずにいてくれた。


「ありがとよ」


 俺は朝食を食べ終わると、すぐにネオンに手紙を送る。といっても食事を持ってくる行商人に手紙を渡しただけだが。

 昼の訓練中に、俺は兵士達に声をかけ配置を伝える。スタンピード用にメーティスさんに聞いた最適な配置である。


「また、急だな」


 兵士達はそういうも、新しい配置に納得してくれた。


「大幅な配置換えだね。何か来るの?」


 ダイヤは笑いながらそう声をかけてきた。


「それはいつもだろう? ダイヤ、土壁の強化、急げるか?」


 ダイヤは使用魔力さえ上げれば、石壁のように壁を強化できる。最低限土壁で固まられたので、徐々に壁の強化を頼んでいたが、もうあまり時間がない。


「できるけど……分かったよ。どこからすればいい?」


「南門の壁から頼む」


「了解」


「すまないな、ダイヤ。負担ばかりかける」


「給料はずんでね?」


 ダイヤは冗談めかしてそう言った。良い奴だな。


「爺さんに伝えとくよ」


 俺はそう答えるしかできなかった。






 結局その後ずっと俺は今後について考えていた。既に夜になっておりいつものように書庫でうんうん唸っている。

 すると扉が開く音がする。


「最近来客が多いな」


 俺の目線の先にはダイヤが居た。


「シャロンじゃなくて残念だったね」


「いつも美人に来られちゃ疲れるから丁度良いさ」


 ダイヤの軽口に俺も、のってやることにした。


「シビル、何かあったんじゃない?」


 ダイヤは再度俺に尋ねる。その言葉にはどこか確信があった。


「心配しすぎだ、ダイヤ」


 それを聞いたダイヤが真剣な顔で言う。


「これでも何か月も隣に居たんだ。君の様子がおかしいことは分かる。そして行動もね。なにか大物が来るんじゃないかい? 一人で背負わないでくれ」


 ダイヤめ。中々よく見ている。これはごまかしきれないな。けど、そこまで見てくれていたことが嬉しかった。


「……ああ。スタンピードだ。数は千。襲撃のトップはハイオーガ、16日後にな」


 それを聞いたダイヤは小さく汗をかいた。顔色が少し青くなっているものの、目は俺を見据えたままだ。


「そりゃあ、シビルも顔色が悪くなるわけだ……。だけど、もう少し仲間を信用して欲しいな。僕はそれを聞いたからって逃げるような人間じゃない」


「なかなか言うじゃないか、ダイヤ」


「だろう? けど、君でも今までのように圧勝という訳にはいかないんだね」


「ああ。流石に戦力が違いすぎる。二百人で千体の魔物を相手にしないといけない」


「武器も足りないねえ」


「その通り。明日、皆に伝える。総力戦だ」


「僕は君を信じて戦う。だから、君も僕を、そして皆を信じてくれ。皆ももう君を信じているはずだ」


「心配するな。信じてるさ。ありがとう、ダイヤ。俺は良き友を持った」


「だろう?」


 ダイヤはにやりと笑う。俺は一人じゃあない。皆を信じて、戦うだけだ。



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