いつか決着を
「あの臆病者が言うようになったな! 腕一本失えばもとに戻るか?」
ハイルまで剣を取り始めた。
『危険?』
『ノー』
どうやら危険ではないようだ。俺的にはとっても危険なんですけど?
「そこまでだ。本人が嫌がってるんだから、おとなしく帰るんだな。話を聞く限り追い出しておいて、今更シビルの力が必要になったから戻って来いなんて虫が良すぎるんじゃないか?」
シャロンが俺とハイルの間に立つように現れる。
あらやだ、イケメン!
「誰だ、クソ女。てめえも殺されてえのか?」
「こちらの台詞だ、クソガキ」
二人がにらみ合う。今にも一発触発の物々しい雰囲気が砦に流れ始める。兵士も皆剣を構え臨戦態勢に入る。
「俺とやるということは王国と構える覚悟ということだな、クソ女ア!」
「何のことだ? 勝手に来た蛮族を追い出すだけだが?」
二人の姿が消えたと感じた次の瞬間、二人は目にもとまらぬ速度で剣を振るい、ぶつかり合う。凄まじい金属音と共に、魔力が弾ける。大気が震え、その衝撃波で体が強張る。
二人はその剣でつばぜり合いをしていた。
「あのガキ、やりやがる! シャロンは『聖騎士』だぞ!」
「馬鹿な! ハイル様の一撃を受け止めるとは……!」
二人は剣を弾きあった後、目にもとまらぬ激しい攻防を繰り広げ始める。周囲の兵士達が、その鮮やかな剣舞に目を奪われていた。
だが、その攻防は突然終わりを迎えることとなる。
「構えろーーーーー!」
クラインの叫びと共に、十人あまりの兵士が弓を構える。
「これ以上暴れるなら、本当に敵として処理する。本人が嫌がっているんだ。おとなしく消えて貰おう。それともこの人数を相手にするつもりか?」
クラインは普段の穏やかな口調が鳴りを潜め、真剣そのものの表情で告げる。
「なんだ……ゴミ溜めと言われている割には活きがいいな」
邪魔をされたと感じたのか、ハイルが不快そうな顔でクラインを見る。
「ゴミにもゴミなりの意地があるんだよ。お前こそ、この人数差で勝てると思っているのか? シャロン一人にも勝てないのに」
その言葉を聞いて、赤い顔で睨みつけるハイル。相変わらず中身はまだ子供のようだ。
「ハイル様……」
部下がハイルに声をかける。流石にこの状況では厳しいと感じているのだろう。
「ふん、うちの領にお前の力など必要ない。久しぶりに会ったにも関わらず、女に自らの身を守らせる臆病者などな」
忌々しそうにハイルは俺に言い放つと、そのまま去っていった。
「なんだあいつは……あんな無礼な奴は中々見ないぞ。あんなのが弟とは、中々凄い家庭環境だったようだな」
シャロンが言う。それを聞いた他の兵士達が、お前が言うな、という顔をしている。
「昔は皆普通だったんだよ。多分な。今はもう思い出せないけど」
いつから我が家は狂ってしまったのか。俺が弱かった時から? それとも、俺のスキルが『神解』だった時から。その疑問は解けない。
ただいつかお家事情にも決着をつけないといけないのかもしれない、と感じた。
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