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お披露目会

 今日の午後三時、南門つまり森側の門にC級魔物サイクロプスが現れる。未だに俺が来てからの最強の魔物はD級だったので今回はそれを更新する形となる。

 サイクロプスは全長三メートル程の一つ目巨人だ。大きな棍棒で人を一撃で葬る怪物といえるだろう。


「前回出た時は……十人以上死にました。けど、今回は!」


 兵士たちの士気も高い。勝たせてもらうぞ。

 今日は他に魔物の襲撃は無い。三十人の兵士が矢と剣を持ち南門を守っている。シャロンは俺の指揮には関わらず、一人で大剣を持って待機していた。


「ありがとうシャロン。何かあったら頼むな」


「……そうならないように努めるのが、お前の仕事だ」


「ああ。その通りだ。俺達を見ていてくれ」


 俺はそう告げた後、壁の見回りに向かう。


「あれ? おかしいな、なんでここ壊れてるんだ?」


 俺は南門の壁の一部が壊れているところを見つける。


「ダイヤ、頼む」


「はーい」


 ダイヤによってすぐさま修復する。土の壁なのでやはり脆いのだろうか。まあいいや。

 見回りを終え、遂に三時。森から巨人が姿を現す。


「前方から、サイクロプス来ます!」


 兵士の一人が緊張の声を上げる。やはりでかさは強さというか、あの太い腕から繰り出される一撃は凡人ではひとたまりも無いだろう。


「一斉射撃、撃てえ!」


 俺の叫び声と共に、数十の矢の雨がサイクロプスを襲う。だが、あの巨体がこれくらいで沈黙するわけも無く、怒りの形相で砦に向かって襲い掛かって来る。壁があるも、あの一撃相手にどれくらい持つか。


「だが、それも予想通りだぜ。うちの名物を食らいな!」


 その言葉と共に、サイクロプスの片足が何かを踏みしだき、大きくバランスを崩す。もはやガルーラン砦名物の落とし穴である。片足が奥深くまで沈み、倒れ込んだ。

 そしてその隙に俺は矢を引き絞る。解禁されたランドールのお披露目だ。


「隊長が、ランドールの弓を引いてるぜ!」


「すげえ! あの毎日弓に話しかける奇行にも意味があったんだ!」


 本人の目の前で奇行とか言うんじゃないよ。魔力がランドールに吸われる感覚がある。いくらでもやるよ。

 俺は矢を放つ。若干ずれつつも綺麗な弧を描いた矢は、見事にサイクロプスの目を貫いた。


「グオオオオオ!」


 サイクロプスが目を押さえて、大きく体を揺らす。どうやら大分効いてるらしい。だが、追撃の手は緩めない。


「ダイヤ!」


「うん!」


 俺の号令と共に、ダイヤが地面についているサイクロプスの両手を土で固める。ほんの少しだが、時間稼ぎにはなるだろう。

 二人の兵士が、手に先端が輪っかになった鎖を持ちサイクロプスの元に走る。そして輪っかをサイクロプスの首に投げる。


 輪っかは見事にサイクロプスの首にかかると、そのまま力任せに引っ張り上げる。

 それにより、サイクロプスの頭が、地面にくっついた。これにより首が完全にこちらの剣の間合いに入る。


「頼みました、おっさん!」


「おっさんって言うな! 俺はまだ三十代だ!」


 たまに絡んでくるおっさんが剣を炎魔法で強化すると地面についているサイクロプスの首を両断した。


「やったー!」


「流石です!」


 おっさんの一撃により、サイクロプスが完全に沈黙する。あらかじめメーティスに確認しているとは言え、接近戦はやはり心臓に悪い。


「ふぅー……無茶させるぜ、隊長さんはよ」


 おっさんは緊張していたのか、汗を拭きながら笑う。

 こうしてなんとかサイクロプスを仕留めることに成功した。



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