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ランドールの悠弓

 魔力に鈍感な俺でも分かる。これは魔法武器で、とっておきの業物だろう。


「ああ。ランドールの悠弓だよ。皆最初はそれを使いたがるんだよ。帝国でも特に高難度のダンジョン深部のレアドロップでね。エピッククラスの弓なんだよ。すごい額で最初取引されたらしい。だけど誰もその弓を引けなかった。それどころか無理矢理引こうとすると、持ち主を攻撃してくるんだ」


 クラインも俺の反応を予想していたのか、すらすらと説明してくれた。


「持ち主を攻撃って……どういうことですか」


 そんな武器聞いたことないぞ。いくら何でもヤンチャすぎる。名馬みたいなものか?


「雷魔法で、攻撃されるんだよ。うちの奴等も何人か熱いのを食らっている。誰も使えなかったからどんどん持ち主が入れ替わってね。それに怒った当時の持ち主の貴族が破壊しようとしたけど中々壊れなかったようで、最終的に昔のこの砦のトップが記念に安くで買ったらしい。 皆それを引こうと一度は挑戦するんだ。シビルもするかい?」


 もはや恒例行事になっているようだ。


「勿論!」


 俺は元気よく頷くと、矢を持って、弦を引っ張ろうと試みる。だが、全く弦が動く気配はない。話はどうやら本当らしい。


『この弓は本当に使える?』

『イエス』


 どうやら使える武器ではあるようだ。


「どうやらシビルでも無理なようだね。呪われしランドールと言われてるよ」


 そう言って、クラインが笑う。

 だが、俺はこの弓から何かを感じる。振り向かせてやるよ、ランドールをな!


「これ、俺が使っていいですか?」


「使える者に譲る。って購入者が言ってたらしいからいいんじゃない? あまり無理をすると、雷に打たれるから気を付けてね」


 クラインはそう言って、鍵を俺に渡して去っていった。


「けど、全く引けないなあ。なにか条件でもあるんだろうか?」


『引くための条件がある?』

『イエス』


「メーティスに尋ねて、調べるしかないかね? それにしても、攻撃までするなんて、まるで物に意思があるみたいだな。まさかな?」


 そういいつつも、尋ねてみる。


『ランドールは意思がある?』

『イエス』


 まじかよ。て事は気に入った者にしか引かせないとか?


『気に入った者にしか引かせない?』

『イエス』


『言葉は分かる?』

『イエス』


 おおー。意思のある武器か。凄いな。


「ランドール、意思があるんだって? なぜわかるかって? そういうスキル持ちなんだ。俺は君を使いたいと思っている。これから君を持ち歩くから、気に入ったならば力を貸してほしい」


 勿論返事はない。本当に言葉分かってるんだよね? 分かってなかったら俺馬鹿みたいだ。というか傍目にはただのやばい奴である。


『いつか心を開いてくれる?』

『イエス』


『半年後?』


 返事はない。俺次第ってことか? まあ頑張るしかないか。


「よろしくね、ランドール」


 こうして、弓に話しかけるやばい男がここに一人爆誕した。

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