表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

56/362

武器庫を見よう

 あの劇的な勝利から一週間、ガルーラン砦は快進撃を続けていた。そのおかげでお通夜のように暗かった砦に活気が戻っていた。


「俺達はここで死ぬと思っていたが……まだ長生きできそうだな!」


「俺なんて、町に子供と嫁を置いてきてるんだ。シビルは俺達の希望だ」


 兵士達も希望を持ち始めたのか、訓練にも精が出る。皆の顔から暗い影が消えたのが嬉しかった。


「本当に、皆の顔明るくなったね」


「ああ。良かった」


 ダイヤの言葉に素直に頷く。今の所、上手くいっている。ダイヤには悪いが、毎日魔力を使い、砦の補修をお願いしていた。土魔法を使えるのはダイヤだけだから負担が集中している。


「いつもすまないな、ダイヤ。他にもできる人がいれば良かったんだが……」


「全然だよ! 皆僕にお礼を言ってくれるし、やりがいがあるよ」


「そう言ってくれると助かる」


「シビルも毎日、色々考えてるんでしょ? 皆知ってるよ」


 魔物ごとに戦い方を考えないといけない。弓矢の数も限られるため、皆の特徴を踏まえて作戦を練らないといけないのだが、それが難しい。やはり、軍略に関してはまだ素人なのだ。


「俺の作戦で、皆を生き残らせるんだ。必ずな」


「ありがとう、隊長」


 最近皆から隊長と言われるようになった。司令官は別にいるための称号だろう。


「よう隊長。隊長の言う通り、武器を槍に替えてから調子がいいんだ」


 兵士の一人が、槍をあげながらこちらに声をかけてきた。彼は元々剣を使っていたが、メーティスに尋ねたところ、槍が向いているようだったのでそう伝えた。


 皆の向いている武器をある武器の中で尋ね、彼等に伝えた。強制は良くないが、割と一度くらいならと皆使ってくれた。気に入った者はそのまま武器を替え鍛錬をしている。

 地味な変化だが、向いている武器を知れるだけでも少しでも有利になるだろう。


 


 前方から歩いているシャロンが目に入る。


「シャロン、おはよう! 朝の鍛錬か?」


 俺はシャロンに声をかける。あの剣技を見る限り、絶対にこれからシャロンの力も必要だ。それに同期としては仲良くしたいものだ。


「……」


 シャロンは、軽くこちらに目を向けると挨拶も返さずそのまま去っていった。まだ心は閉ざされたままのようだ。


「相変わらずだねえ」


 ダイヤも苦笑いだ。あんな態度でも虐められないのは、偏にあの強さのおかげだろう。

 ダイヤと話していると、世話役であるクラインがこちらへやって来る。


「あーい、シビル。武器庫見たいんだって? 今から向かうし、来るかい?」


「クラインさん、お願いします」


 今までお願いした武器を持ってきてもらっていたが、在庫も確認しておいた方がいいと考えお願いしていた。


 武器庫は地下にあるのか、かび臭い石造りの階段を下る。鉄製の厳重な扉を鍵で開けて中に入る。


「意外にあるだろ? 皆すぐに死んじまうから、ってのもあるんだがな」


「そうですね。ってなんですかこれ!」


 俺の目線は一つの美しい白い弓に釘付けになる。ボロボロの武器だらけの武器庫の中に、一つだけ素人の俺でも分かるほど素晴らしい弓があった。

お読みいただき、ありがとうございました!


少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけたら、


『ブックマーク』と広告下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけると嬉しいです!


評価ボタンはモチベーションに繋がりますので、何卒応援よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
  『復讐を誓う転生陰陽師』第1巻11月9日発売予定!
    ★画像タップで購入ページへ飛びます★
html>
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ