こんな世界でも面接ってあるんだね。
「試験は明後日だって!?」
俺はイヴから告げられた唐突の試験に日程に大声を上げる。
「ごめんなさい! しかもデルクール北東にある軍駐屯地で試験を行うから今日中には発たないと間に合わないわ」
イヴが申し訳なさそうな顔で頭を下げる。イヴは全く悪くないんだが、急である。体中がまだボロボロだというのに。
「イヴは何も悪くない」
「私も駐屯地に一旦戻ることが決まったから、一緒について行くね」
「助かるよ」
あの大戦以降、話がトントン拍子に進んでいく。本当に俺が軍に入って役に立つのだろうか……。しかも軍師なんて……。
「じゃあ、夜には発つから準備しておいてね」
そう言って、イヴは去っていった。
ネオンに俺が生き残ったことを伝えたかったが、どうやら伝える時間はなさそうだ。俺は結局ベッカーさんから貰った推薦状と報奨金を手に駐屯地へ向かった。
辿り着いた駐屯地は、小さな要塞というに相応しい物々しい建物だった。中は古いが、頑丈に作られており、多くの兵士が武器を持って慌ただしく歩き回っている。
「緊張してるの?」
「そりゃあそうさ。俺は全く戦えないのに、なんでこんなところにいるんだろうか?」
「けど、グランクロコダイルを討伐したじゃない」
「俺がしたわけじゃ」
「自信をもって! シビルが居なかったら、デルクールは滅んでたかもしれなかった。それくらい凄いことをしたんだから! 時間もないからもうすぐ始まると思うよ! ベッカーさんの推薦があって良かったね。通常なら年に一度の試験を受けないと入れないんだよ~」
とイヴが明るく言う。微塵も俺が落ちることを疑っていない。男が多めの職場だからか、イヴが美しいからか、は分からないが騎士達の目線の多くはイヴに向いている。
前方から、いかにも軍人のような短髪で筋骨隆々な青年がやってきた。
「シビル君。今から筆記試験を始める。こちらに来なさい」
「はい!」
俺は少し声が上ずりながら返事をする。
「頑張ってね、シビル。一緒の騎士団ならいいね」
とイブが耳元で優しく囁いてくる。
俺は気合を入れて、試験会場に向かった。
「あれ、どうなんだろうなあ……」
小さな部屋で筆記試験を終えた俺は、呆然と天井を見つめていた。マルバツ問題はメーティスさんに尋ねることで勿論全問正解だ。
一般教養も一応は元貴族の端くれ、殆ど解けたと思う。
だが、軍略に対する筆記問題。あれがいけなかった。さっぱり分からん。学んだことが無いから当然だが、適当に書くしかできなかった。
軍師志望なのに、軍略に明るくない。これはまずいのでは? だが、今後に期待という点で合格にならないだろうか? 別に落ちても良いのだが、信じてくれたイヴとベッカーさんの期待を裏切るのは嫌だった。
色々考えていると、部屋のドアが開かれる。
「続いては面接試験だ。こちらに来なさい」
「はい!」
終わったことを考えていても仕方ない。俺は覚悟を決めて面接会場へ向かう。
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