エピローグ
シビルがグランクロコダイルを討伐した頃、ロックウッド領は大混乱の最中にあった。
当主であるレナードの元には農民からの大量の嘆願書が山のように届いている。税金が六割を超えたせいで、生活できなくなってしまった農民たちが減税を求めた嘆願である。既に税を払えないと悟った者の中には、別の領に逃亡を始める者もいた。
「働きもせずに、文句ばかり言いおって……! これも全てはあの臆病者が甘やかしたせいよ」
レナードは怒りの矛先をシビルに向けていた。
「だが、この状況はいささか悪いわい」
そう言って、目を向けた先には農民が兵士に鎮圧されている様子が見える。
屋敷の外では大量の農民が暴動を起こしており、次々とロックウッドの兵士に斬られている。
「クソ! ゴミ共が調子に乗りやがって」
ハイルは剣についてる血を拭う。ハイルは自分の悪口を言った農民達を処刑した。それによりただでさえ税を上げられ鬱憤の溜まっていた農民達が遂に爆発したのだ。
「俺達はただ、抗議をしただけだ! なんで斬られなければならねえんだ!」
斬られ息絶えた老人を抱き、若者が叫ぶ。
「領主に逆らって、ただで済むと思っているのか?」
兵士達は冷たい声色で言い放つと、その若者を斬り捨てた。農民達は憎しみの目で兵士を、ロックウッド家を見据えつつも逃げ去る。
「ふん、腰抜け共め」
ハイルはその様子を見て鼻で笑う。だが、彼は気付いていない、無理な鎮圧は確実に禍根を残すことを。
この事実をきっかけにより多くの村で暴動が起こることに。
「ハイル、そこまでにしておけ」
レナードが屋敷から出て、ハイルに声をかける。
「お父様、どうされました? あの程度、俺だけで充分ですよ」
「別にお前が負けるなどとは思っておらぬ。今回のような処刑はもうやめておけ。六割に上げたにも関わらず税収が渋い。逃げた者もいる始末だ。まことに悔しいが、あの臆病者は農民に媚びを売るのだけは上手かったらしい」
レナードは憎々し気に言い放つ。
「臆病者ゆえに、農民の心が分かったんじゃないですか?」
突然、憎む兄の話題を出され、語尾がきつくなる。
「色々考えたが、あの臆病者を呼び戻そう」
「何を言ってるのですか、お父様!」
突然のレナードの提案に、思わず叫ぶ。
「心配せずとも、こき使うだけだ。奴なら家に居させてやると言えば、喜んで戻って来るだろう。お前は次期当主として、奴を上手く扱えばいい。死んでいなければ奴はおそらく今ローデル帝国のどこかにいるだろう。兵士を送って探させよう」
「分かりました、お父様。俺が自ら探してまいります。部下だけでは何かあるといけませんから」
「お前がわざわざ向かうほどでは無いと思うが……まあいい。たまには外に出るのもいい経験になるだろう。何人か護衛をつける」
「ありがとうございます」
ハイルは冷静に礼を言っているが、心の奥底では怒りが煮えたぎっていた。
(兄など、ロックウッド領に必要ない! 父は一体何を考えている!必ず俺が見つけ、その首を飛ばしてやる!)
ハイルは部屋に戻ると、すぐさま旅支度を始める。
「おい、お前ら。今からローデル帝国へ向かう。用意しろ」
「「はっ!」」
今返事した者達はハイルに忠誠を誓っている部下達だ。彼等はハイルの考えている事にうすうす気づいていた。
翌日早朝からハイルと部下達は馬に乗り、ローデル帝国へ向かった。
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