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守り神

 シビルがグランクロコダイルと対峙している間、ディラーは大鐘楼の階段を上っていた。そしてこの町の守り神と言われている大鐘の元へ辿り着く。

 大鐘は上部が大きな鎖で塔と固定されている。ディラーはその鎖を見定めると大きく息を吐き剣を構える。その剣には魔力が宿されていた。


緋閃(ひせん)!』


 炎を纏った鋭い一撃が、大鐘を繋ぎとめている鎖に刺さる。金属がぶつかる音が塔内に響き渡る。

 ディラーのスキルは『魔法剣士』。ディラーには火魔法の魔法を使う才があった。その鋭い一撃により、鎖が欠ける。


「畜生、一撃じゃあ無理か。早くしねえと、大将が死んじまう……」


 ディラーは焦りながらも剣を握る。


 シビル達の失敗した時の策、それは大鐘でグランクロコダイルを叩き潰すというものだった。それをするには、誰かがこの下で時間稼ぎをしなければいけなかった。グランクロコダイルを真下に留め、尚且つ自分自身も大鐘による被害を受ける可能性があるという大変危険なものだった。

 ディラーは自分だけでは間に合わない可能性を感じていた。不安をかき消すように、鎖に向けて剣を振る。


 すると下から階段を上る音がした。ディラーは警戒心を強めるも下からやってきた者の顔を見て大きく息を吐いた。

 その正体はイヴだった。


「ディラーさん、待たせたわね」


 痛みで顔を歪ませながらも、イヴが笑う。


「お前……」


 明らかに重症である。階段を上がるのもそうとう辛かったことが分かる。


「下でシビルが頑張ってるんだもん。私だけ、のんびりしてる訳にはいかないでしょ? 同時に行くわよ!」


「応!」


 二人は同時に剣を構える。


風弾(ヴィントパトローネ) !」


「緋閃!」


 二人の連携は初めてとは思えない程、息の合った一撃であった。風と炎が交わり、大きな一撃へと変わる。

 鎖が砕ける音がした。














◇◇◇


 上から金属がぶつかるような小さな音が聞こえるのを俺の耳は見逃さなかった。ここを今離れる訳にはいかない。

 俺は僅かに見える口内に、持っている剣を突き刺した。それにより噛む力が弱まった瞬間手を引き抜くと、グランクロコダイルの上部に貼りついた。


 少しでも時間を稼ぐんだ!


 グランクロコダイルはそれが不快なのか、俺を落とそうと体を振る。だが、死ぬ気でしがみつく。


「だいぶ効いているんだろう? 力が弱いぜ?」


 その煽りが効いたのか、さらに大きく体を揺らす。

 ディラー……早く、頼む……。腕の力が段々無くなって来る。段々限界が来ている。


 すると上から凄まじい音が響く。

 大鐘が落ちる。そう本能的に感じた。


 俺は勘違いをしていた。俺は確かにグランクロコダイルに勝てるような英雄じゃねえ。だけど、皆と一緒なら。仲間と共に戦えば勝てるんだろう? 俺はメーティスに尋ねる。


『俺達はグランクロコダイルに勝てる?』

『イエス』


  俺は極限の状況にも関わらず、笑う。やっぱりメーティスは嘘なんてつかない。だからこの勝負は俺達の勝ちだ!


「悪いな、一緒に死んでやるつもりはねえ!」


 俺は剣は振り上げると、グランクロコダイルの残った左目に思い切り突き刺す。その一撃で大きくグランクロコダイルの体が揺れる。その揺れで俺は大きく吹き飛ばされる。


「あ……」


 俺の目は落ちゆく美しい大鐘を捕らえる。次の瞬間、大鐘がグランクロコダイルに直撃する。その衝撃で美しい鐘の音がデルクールに響き渡る。

 デルクールを守る、守り神が町の敵を仕留めた美しい音色だった。

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