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俺達はまだ終わっちゃあいない

 その爆発は凄まじく、辺りは爆煙で包まれる。周囲の人間はいまだ突然の状況について行けず凄まじい爆発音に呆然としていた。


「大将……やったのか?」


 ディラーが尋ねるも、俺にも分からなかった。確かに爆弾をまともに浴びた。これならグランクロコダイルが死んでいてもおかしくはない。


「グラアアアアアアアアアアアアアアアアア!」


 心底怒りのこもった長の叫びが響き渡る。奴はまだ生きている。爆煙が晴れた先に居たグランクロコダイルはボロボロではあった。

 歯の殆どは消し飛び、口元も爆発により裂けている。口先の一部も消し飛んだことが見て取れた。


 だが、死んでいない。B級魔物の生命力。その根源を見た気がした。その目は血走っており、死にかけの獰猛な魔物が見せる特有の殺気がこもっている。


「これで死なねえのかよ……B級どころじゃねえぞ」


 流石のディラーの声にも、僅かに落胆がこもっていた。


 やはり無理だったのだ。オークもまともに倒せない剣士が、策を弄したところでB級魔物に勝てる訳がない。そんな現実を叩き付けられた気がした。

 今すぐ逃げよう。この震えた足で。俺は十分やった。イヴもきっと許してくれるだろう。結局俺はメーティスの答えを、ひっくり返すことはできないのか?


 ディラーが目線で問いかけてくる。まだやるのかと。戦うべきか、逃げるべきか。俺が選ぶのは勿論―――。


「ディラー、俺に策がある! まだ、俺達は終わっちゃあいない!」


「ふう……そう言うと思ってたぜ。あんた本当に臆病者なのか? 死にたがりにしか見えねえぜ」


 ディラーが呆れたように言う。俺も馬鹿だな、って思う。臆病者のシビル。昔からそう言われてきた。だが、臆病者にだって意地はある。


「広場まで逃げよう!」


「あいよ」


 グランクロコダイルの憎しみは完全に俺達に向かっている。俺達は広場に向かって走り出した。

 俺達には、守り神がついている。俺達はまだ終わっちゃいない。








 俺達は大鐘楼のある大広場に辿り着いた。周囲にはあまり人は居ない。逃げまどう人たちがたまに通る程度だ。

 その大きな広場の中心にある大鐘楼の真下で俺は、こちらに向かってくるグランクロコダイルを見つめていた。


 先ほどの爆発のダメージか、動きが鈍い。そのおかげでなんとかここまで逃げることができた訳であるが。

 怒りに我を忘れているのか、ディラーがこの場から消えている事に気付いていない。


「さあ、決着をつけようぜ」


 俺は震える手で、剣を握った。


 頼むぜ、ディラー……。俺は祈るような気持ちで大鐘楼を見上げる。次の瞬間、グランクロコダイルが襲い掛かってきた。

 やっぱりさっきよりも遅い。そう感じるも、俺は熟練の剣士ではない。俺は赤玉をグランクロコダイル目掛けて投げつける。


 だが、グランクロコダイルも先ほどの一件で警戒していたのか、顔を逸らし目に受けることを避ける。

 やっぱり無理か。俺は左側に転がり、突進を躱す。だが、グランクロコダイルの方が上手であった。


 一瞬で体勢を立て直すと、その大きな口が開き襲い掛かってきた。その口を躱しきることはできずに、右腕を噛まれる。


「ぐああああああ!」


 俺はその痛みに悲鳴を上げた。だが、腕はまだ食いちぎられてはいなかった。先ほどの爆発で歯が殆ど消し飛んだからだろう。

 とはいえ、その力が無くなったわけではない。その強い力に俺の骨が鈍い音を奏でる。骨が折れた激痛で顔が歪んだ。

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