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閑話 宴会と勝負

 デミ聖国との戦いが終わった後、グロリア軍は勝利の宴を盛大に開いていた。


「俺達グロリア軍に勝るものなし!」


「副長も遂に覚醒したらしいし、帝国でも上位と言えるんじゃねえか?」


「今ノリに乗っているグロリア軍だからな!」


 勝利の美酒に酔い、皆も大盛り上がりである。


「副長もすげえよなあ。あの若さで覚醒するなんて」


「綺麗なんだけど、怖いんだよなあ」


「分かる。綺麗だけど、もうちょっと優しさが欲しいよな。直属だけど鬼のように怖いぞ」


「俺はそれがいい」


 とシャロンの話題で盛り上がっている。

 だが、他の席が急に静かになった気がして背後を振り向く。


「なんだお前等、酒が足りてねえの……か?」


 背後にはシャロンが冷めた目で悪口を言っていた兵士を見つめていた。


「怖くて悪かったな。たまには顔を見せようと思ったが、余計なことをしたようだ」


 そう言って帰ろうとしたシャロンを別の兵士が止める。


「そ、そんなことないっす。俺は好きっす。シャロンさん、付き合って下さい!


 別の兵士の突然の告白。


「「「「おおおおおおおおおおおお!」」」


 兵士達が突然の告白に大きく盛り上がる。


 だが、シャロンは冷静だった。


「断る。そのような関係になる気はない」


 とあっさりと両断した。


 綺麗なシャロンは昔からこのようなことはよくあった。

 最近は地位が上がったため減ってはいたが。


「で、ですよね……。なら、飲み比べしましょう! 俺が勝ったら、一度だけデートしてください!」


 兵士は諦めずに食い下がる。


「なぜ私がそんなことをしないといけないんだ……」


 と断ろうとした。


「副長、部下からの勝負に逃げるんですか?」


 他の兵士のヤジ。

 だが、その言葉はシャロンに刺さった。

 シャロンは椅子に堂々と座る。


「私が飲み比べで負けると思うか?」


「「「「おおおおおおおおお!」」」」


 突然の対決が始まった。

 告白した兵士も必死で飲む。


 だが、相手のシャロンはいくら飲んでも全く顔色が変わらない。


「強い……副長、あんなに酒が強かったのかよ」


 兵士は朦朧とするまで飲んだが、結局その場に倒れ込んだ。


「勝者、副長!」


「「「つえええええ!」」」


 他の兵士もシャロンの強さに驚いていた。


(聖騎士のスキルの一つに、毒無効があるから酒では私は酔わない。だから負けるはずがないんだが……)


 シャロンは飲んだアルコールを一瞬で無効化していた。


「えっ! 俺も実は好きだったんだよな。勝てばデートいけるの?」


「俺も次勝負挑もうかな」


 高嶺の花となっていたシャロンに、飲み比べで勝てばデートができると知って、ひそかなシャロンファンが飲み比べの勝負を挑もうかと悩んでいる時、宴に顔を出す者が居た。


 シビルである。


「なんか、凄い盛り上がっているね。なにかあったの?」


「おお! 隊長! 実は今副長と飲み比べしているんですよ。勝てばデートができるんですが、隊長も

どうですか?」

 外野の兵士が状況を説明する。


「ふざけるな! なぜ私だけ皆と戦わねばならんのだ。不公平だろうが!」


 シャロンが異議を唱える。


「おもしろそうだな、やろうか」


 そう言ってシビルがシャロンの前に座る。


「おおおお! 隊長と副長の一騎打ちだあああ! 酒だとどっちが強いんだ」


 周囲はさらに盛り上がる。今更断るとも言えない雰囲気だった。


(えっ。もし私が負けたらシビルとデートをするのか? 別に嫌な訳ではないんだが……。いや、だけど聖騎士のスキルを発動させたら酔わないんだよなあ)


 勝ちの決まっている戦いをして良いものか、と悩み始めるシャロン。


(うーん……いや、やっぱりズルはよくないな。仕方ない。スキルを切って正々堂々と勝負しよう)


 シャロンは心の中で言い訳をして、スキルの一部を解除する。


「では、始め!」


 いつの間にか付いていたジャッキが声を上げ戦いが始まる。


 お互いに酒を呷る。


(うっ、スキルなしだとやはりきついな……負けたらデート。どこに行けばいいんだ?)


 そう考えながら、シャロンが目の前のシビルを見ると、既に顔は真っ赤になっていた。


(お前も弱いのか! なぜ勝負を挑んできたんだ! 今更急に負けることもできんぞ?)


 そう思いながら飲んでいると、やはり弱かったのか机に突っ伏して眠り始めるシビル。


「隊長、弱いな……」


「あいつより弱かったな」


 シビルは殆ど酒を飲まないこともあり、非常に弱かった。


「呆れた奴だ……もう飲み比べは終わり。私はこの馬鹿を連れて行く」


 シャロンがそう言うと、シビルを抱きかかえてベッドに連れて行く。

 シビルは幸せそうに眠っていた。

「倒れるまで飲むなんて、馬鹿だな。別にいつでもいってやるのに……無理をして」


 シャロンは寝ているシビルを見ながら笑顔でそう言った。


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ハイファン物で、ただの農家の少年がいきなり無人島に捨てられ、強制的にサバイバルをすることになるお話です。

難易度ヘルモード仕様なので一国を滅ぼすような霊獣が大量に住んでおり、テンポよくうまくいくことはないですが、最終的には最強に至る無双物なので、本作を楽しんでくれた方なら必ず楽しめる熱い作品になってます。

是非ご一読お願いします!


【タイトル】

伝説の霊獣達が住まう【生存率0%】の無人島に捨てられた少年はサバイバルを経ていかにして最強に至ったか


URL

https://ncode.syosetu.com/n0666ju/


あらすじ

小さな村で平凡な日々を過ごしていた少年リオル。11歳の誕生日を迎え、両親に祝われながら幸せに眠りに着いた翌日、目を覚ますと全く知らないジャングルに居た。

そこは人類が滅ぼされ、伝説の霊獣達の住まう地獄のような無人島だった。

次々の襲い来る霊獣達にリオルは絶望しどん底に突き落とされるが、生き残るため戦うことを決意する。だが、現実は最弱のネズミの霊獣にすら敗北して……。

サバイバル生活の中、霊獣によって殺されかけたリオルは理解する。

弱ければ、何も得ることはできないと。

生きるためリオルはやがて力を求め始める。

堅実に努力を重ね少しずつ成長していくなか、やがて仲間(もふもふ?)に出会っていく。

地獄のような島でただの少年はいかにして最強へと至ったのか。

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