ドン・ゴラン
ボピンファミリーの構成員達はゴランを取り囲むように移動する。
「田舎ファミリーのトップ如きが……俺達に敵うと思ったか? 囲め!」
構成員達が襲い掛かる。
「ゴランさんを助けろ!」
「おお!」
それに呼応するようにゴランの部下達もボピンファミリーに応戦する。完全にボピンファミリーとゴランファミリーの抗争の形となった。
だが、三大ファミリーと呼ばれるボピンファミリーと田舎ファミリーのゴランファミリーの構成員では地力が違う。
ゴラン達は少しずつ押され始めた。
「お前等の敵は俺だろうが!」
ゴランはそれを止めるべく中心で大斧を振るい、味方から自分へと標的を変えさせるべく奮戦する。
やがて少しずつゴランに攻撃が集中し始める。
四方八方から攻撃を受けるゴランの体は傷だらけになっている。背中には剣が刺さっており、腹部には矢が刺さっていた。
「ゴランさん、もう逃げましょう! これ以上は……」
部下が傷だらけのゴランを心配する。
だが、ゴランは一歩も引くことなく、立ち向かう。
最初は嘲笑っていたボピンファミリーの構成員も、少しずつ死なないゴランに恐怖を覚え始めていた。
「こいつ……なぜ死なねえ!?」
構成員の剣が振り下ろされるも、その剣は綺麗な金属音と共に折れる。
ゴランのスキルは『硬化』。魔力を込めることで体を硬化できるシンプルな、だが戦闘向けのスキルである。
敵の攻撃を硬化で防ぎ、ゴランは前進する。
止まることなく襲い掛かるゴランの姿に、遂に敵の足が止まる。
「く……来るな! 一斉に放てええ!」
号令とともに、ゴラン目掛けて、周囲から大量の矢が降り注ぐ。だが、その矢もゴランの前進を止めることはない。
怯えるボピンファミリーの構成員にゴランが吠える。
「俺はドン・ゴラン! お前等如きの攻撃が効くかよ!」
その大斧の一振りは、敵構成員の命を根こそぎ刈り取った。
多くの戦場のほんのひと部分。だが、確かにゴランファミリーがボピンファミリーに勝利した瞬間である。
死体となった敵がアンデッドとして蘇る姿を見て、ゴランは舌打ちをする。
「ゴランさん……無理しすぎですよ。ですが、格好良かったです。これからどうしますか?」
「敵は領主に任せとけ。俺達は……ガキ共を逃がすぞ。領主にあそこまでさせて、ただトンズラじゃあ顔向けできねえからな」
ゴランはそう言って、スラムを翔けた。
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