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到着

 都市クロノスのスラムは北の外れに存在している。

 荒み切って陰鬱な雰囲気の流れるはずのスラムだが、子供の元気な声が響く。


「ゴランが飯持ってきたぞ!」


「本当だ、無くなる前に食おうぜ!」


 子供達が集まる先には、大鍋の前で食事を器に盛るゴランの姿があった。

 日々の奉仕活動のおかげか、子供達はすっかりゴランに怯えることなく食事に群がっていた。


「ゴランさんだ! ほら、ガキの分は全員あるから落ち着いて食え」


 ゴランは文句を言いつつも、子供達に食事を与える。


「子供達もゴランさんに慣れて良かったっすね」


 子供達が食べ終え、後片付けをしている最中、部下が言う。


「あんなに舐められるくらいなら、怖がられた方がましだぜ」


 とぼやくもどこか嬉しそうだ。

 片付けをしていると、道も向こうから大量の男達が現れる。その周囲にはスラムの人々が血だらけで倒れている。


「誰だ、あいつら?」


 ゴランは男達に気付いて立ち上がるも、その立ち振る舞いからすぐに同業者だと察する。


「ゴランさん……やっちまいますか?」


 部下が剣を持ちながら尋ねる。

 ゴランはその集団の中でも異質な男に気付く。

 真っ赤な司祭服を身に纏う男、ボピンだ。


(あれは……俺達程度が勝てる人間じゃねえ……人を人として見ていない虚ろな目。殺しが日常になっている人間の目だ)


 ボピンがゴランに気付く。

 全身から血の気が引いたゴランは叫ぶ。


「逃げるぞ!」


 ゴランは一目散に逃げだした。


「ボピン様、追いますか?」


「う~ん、あんな木っ端はどうでもよいです。とりあえず、ここで一番の規模のファミリーのアジトを制圧しますよ」


 ボピン達は立ちはだかる者を全て殺し、瞬く間にスラムを制圧した。

 もぬけの殻となったゴランファミリーのアジトに辿り着いたボピンは首を傾げる。


「ここで一番大きなファミリーは本当にここですか? 全く気配がありませんが」


「どうやら、さっき逃げたゴリラのような男がここのスラムを統べるボスのようです。うちの者は奴にやられたのでしょうか?」


 部下も怪訝な顔でボピンに告げる。


「おかしいですねえ。奴ではないです。それは間違いない。一応、百人ほど出しますか。あのゴリラを救済しに行かせなさい」


「はっ!」


 ボピンはゴランファミリーのアジトに腰を下ろした後、静かに報告を待った。


 だが、三十分後届いたのは部下が全滅したという報告だった。

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