魔王教
俺は今後のバーナビーの行動について、メーティスに尋ねていた。
「やってくれるな……! リーシェン、主な者を集めてくれ。作戦会議だ」
俺は顔をしかめると、リーシェンに指示を出す。
「承知しました。また厄介事ですカ?」
「ああ……。今までで一番のな」
リーシェンが主だったものを呼ぶ。シャロンやイヴ、ライナス、メロウ。グスタフや、エンリケである。
「またバーナビーの嫌がらせか? 次はどこの貴族が来る?」
シャロンが言う。
「いや、次は裏組織の者が来る。規模は四千だ」
俺は皆に告げる。それを聞いたグスタフが青ざめる。
「四千……? こちらは千四百しかいませんよ? しかも半分以上が新兵だ!」
他の者も、その人数に閉口している。
「裏組織にしては人数が大きすぎるだろう。そんな規模の裏組織なんて本当に存在しているのか?」
シャロンがそう言って、リーシェンの方を見る。
「ローデルの裏組織でそれほどの規模を誇るのは、三大ファミリーだけですネ。戦闘もできるのはペリドットファミリーとボピンファミリーのどちらかだと思いマスよ」
リーシェンが俺達を見ながら解説してくれる。
『グロリア領に来るのはペリドットファミリー?』
『ノー』
『グロリア領に来るのはボピンファミリー?』
『イエス』
「皆、グロリア領に来るのは、ボピンファミリーだ。何か情報はないか?」
「なるホド。トップのボピンは狂信者として有名デス。部下も信者が多いト」
「狂信者? どういうこと?」
「ボピンは魔王教の信徒として有名なんですヨ」
魔王教とは、二百年前に滅びた魔王の復活を目論む宗教である。
「アルテミア王国では邪教として排斥されていたが……」
「それはローデルでも同じことデス。が、彼らは闇に潜みます」
それにしても信者達の集まりが裏組織にまでなるとは中々のアクティブさである。
「魔王教の奴等は俺も知ってますが……皆頭がおかしい奴等です。平気で人を拷問する異常者の集まりと聞きます」
グスタフが呟く。うーん、戦いたくない相手だなあ。
「三日後、まず先兵として六百ほどがスラムを目指してやってくるようだ。それを千五百で一方的に刈り取る。人数差が厳しいからここで少しでも差を縮める。皆、頼んだよ」
「「「はっ!」」」
不安な顔、覚悟の決まった顔、様々な顔が入り乱れる中、戦いの時は近づいていた。
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