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流石だ

 金属同士が激しく当たる澄んだ音が響く。

 振り下ろされた剣は、一本の矢によって弾き飛ばされ宙を舞った。

 ネオンは未だに斬られていないことに疑問を持ち、目を開ける。そこには剣を失って、驚愕した表情をした兵士がいた。


「だ、誰だ⁉」


「何をしているんだ? 兵士が複数人で女一人を囲んで……」


 俺は静かに尋ねる。

 なんとか間に合ったらしい。ネオンの顔が気になってメーティスに尋ねたら、ネオンが俺のために一人でフクベル商会の元へ向かうことを知った。

 すぐさまネオンを追ったおかげで、間に合ったようだ。


「お前には関係ねえよ。格好つけやがって、戦場ではお前みたいなやつから死ぬんだよ!」


 残りの三人が一斉に襲い掛かってきた。なんだ、こいつら。

 俺は静かに矢を弓に番えると、三射で三人の兵士の腕を射抜いた。


「「「があああああ!」」」


 兵士達が腕を押えて悲鳴を上げる。


「次はお前達の眉間を射抜く」


「冗談じゃねえ! こんなところで死ぬなんて御免だ!」


それを聞いた兵士達が怯えながら、即座に逃亡した。


「おい! お前達、俺を置いていくな!」


 フクベルは叫ぶも、兵士達はそれに答えることもなく消えていった。


「さて、続きをどうぞ。フクベルさん?」


 俺は静かにそう言った。




 ネオンは俺の横にやってくると、耳元でささやいた。


「ありがとう。ごめんね、結局手間かけさせちゃった」


「いや、こちらこそありがとう。俺のことを考えて、一人で動いてくれたんだろう? 嬉しいけど、無理はしないでくれ」


「そうね、気を付けるわ。で、フクベル。もう一度言うわ。あんた、商人が契約を違えることの意味を分かっているんでしょうね? クロノスを敵に回すことの恐ろしさも」


 ネオンはフクベルに詰め寄る。


「す、すみません……。どうか、報告だけは……周囲に広まってはやっていけません」


 フクベルは冷や汗をかきながら、頭を下げる。


「商人の誠意の見せ方、分かってるわよね?」


「はい! すぐさま納品させていただきます!」


 それを聞いて、ネオンはにっこりと笑って口を開く。


「ん? 聞こえなかったのかしら? 誠意を見せろ、って言ってるんだけど」


 フクベルは目を一瞬だけ逸らした後、口を開く。


「こ、今回の商品は無料で……提供させていただきます……」


 項垂れたように、フクベルは言った。


「よろしい。今すぐ持ってきて。後で言い訳できないように、ちゃんと証書も書いてもらうから」


「はい……」


 フクベルは泣きそうな目で、答える。

 さ、流石だ……。

 こちらを見て笑うネオンを見て、そう思った。

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