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混乱

 動き方が決まればギルドマスタ―の動きは早かった。多くの商人に連絡を取り、計画を伝える。


「オズワルド領に食料をおろしているフクベル商会は俺の知り合いだ。今後の食料をとりあえず半年分くらい契約してくりゃいいんだな」


「俺もソニー商会の交流がある。食料の買い占めだな。すぐに動こう」


 交流拠点であるクロノスの商人だけあって、皆顔が広い。すぐにオズワルド領と繋がりのある商会全てを特定した。


「ああ、頼んだ。金は商会から出す。ネオン、お前は領主軍を動かして、野盗共を」


「任せて」


 ネオンはシビルの元へ向かった。




 それから二か月が経過した。

 オズワルド領の人々の顔は暗い。皆、どこか陰鬱をした雰囲気を醸し出している。


「こんなに食べ物が高くちゃ生きていけねえよ! クロノスの三倍以上しているって、聞くぞ! クロノスに行かせてくれよお!」


 若者がクロノス側の門を守る門兵に詰め寄る。


「駄目だ。それにクロノスの食料が安いのはデマだ。今はどこも高い」


 門兵はすげなく返す。だが、他の者達もストレスが溜まって来たのか、門兵に詰め寄る。


「このままじゃ死んじまうぞ! クロノスに行かせてくれないなら、せめてクロノスから食べ物を調達してきてくれよ」


「どこも高いんだ、我慢しろ。クロノスへの道は野盗と魔物でとても通れたもんじゃないのだ」


 オズワルド領は少しずつ食料が高騰し、下々の者に影響が出始めていた。脱走してクロノスで食べ物を買う者がいる始末だ。

 クロノスの商人達が素早い対応で周囲の食料を買い占めたためである。

 二か月が経過したことで、オズワルド男爵の予定が既に狂い始めていた。


「嘘をつけ! 皆安全だって言っている!」


「それこそがデマだ。食料なら、ドグラ領へ買いに行けばいい」


「ドグラ領への道こそ野盗だらけで通れたもんじゃないじゃないか! 食べ物を買いにいった友人が、もう二週間も帰ってきてない。きっと殺されたんだ」


 それを聞いた門兵がばつの悪い顔をする。門兵もドグラ領への道の治安が日に日に悪化しているということを耳にしているからだ。


「五月蠅い! これ以上職務を妨害すると、逮捕するぞ!」


 門兵に脅された領民は恨めしい顔で、去っていった。領民を見て門兵がため息を吐く。


「オズワルド様はいつまでこんな経済封鎖をするつもりなのだろうか?」


「分からん。三か月ほどと聞いたが、まるでこちらが経済封鎖を受けているみたいじゃないか……」


「うちはただでさえ食べ物を作っていないんだ。このままだと持たないぞ」


「なんでこんなよくわからないことをするんだろうな」


「上の考えることはよくわからんな。うちは正直クロノスの近くにあったから生きて行けてたんだ。自らその繋がりを断つなんて愚かとしか思えん」


 門兵も今の状態が良くないことは気づいていた。こんな状況が長くは続かないことも。

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