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商人ギルド

 ギルドマスターは椅子に座ると、さっそく口を開く。


「で、話はなんだね? 本当なら私は君のような木っ端商人に割く時間はないんだがね」


「あら、ここでは随分御用商人が雑に扱われるようね?」


 売り言葉に買い言葉。空気がわずかに張り詰める。


「随分生意気だな。新領主の女風情が……!」


 ギルドマスターの罵声を浴びても、ネオンは全くひるむことはなかった。

 女一人で商人をしていると、このような罵声を浴びることは一度ではない。その罵声も全てを飲み込み、戦ってきたのが、ネオンという商人だ。


「仲が良いのは否定しないけど、女じゃないわ。私は戦友よ! 彼がシビル・グロリアでなく、ただのシビルだった頃からね! だから……友達が困っていたら助ける。それだけのことよ」


「商人は情でなく、利で動くものだ。そんな理由で動くとは……甘いな」


「御用商人が、貴族のために動くことはなんらおかしくないわ。シビルは必ず、この国を変えるような大物になるのだから。私は彼に全力ベットと決めてるの」


 ネオンははっきりとギルドマスターに告げる。

 ギルドマスターはしばらく考えるそぶりを見せた後に、口を開く。


「経済封鎖を解きてえ、って話だろうが何か策はあるんだろうな?」


 ギルドマスターの言葉を聞いて、ネオンは笑う。


「現在経済封鎖をしているのは東のオズワルド領、北のドグラ領。その二つはこちらへ行くことも、こちらから行くことも禁止しているわ。無理して通った者は野盗に襲わせるつもりみたいね」


「野盗の情報はこちらでも確認している。それにしても……舐められたもんだ。ここはどこよりも便利だから、発展したんだ。ここを閉鎖したら困るのはどちらか教えてやらねえとな」


 ギルドマスターは獰猛な笑みを浮かべる。


「ドグラ領は確か羊毛が主要な商品だったはず。そして、クロノスでの販売が主軸だったのよね?」


「良く知ってるな。その通りだ。クロノスで商売ができないのなら、どんどん稼ぎがなくなるはずだ。だが、オズワルド領はそこまでこちらで販売している訳じゃない。代わりに食料の半分以上をここで購入してた」


 オズワルド領は土地が恵まれておらず、食べ物の多くを他領から買っていた。


「そう。だからオズワルド領の周囲の食料を根こそぎこちらが買い占めるの。食べ物をこちらからしか買えないと気付いたら、嫌でもこちらに頭を下げに来るはずよ」


「いいアイデアだ。だが、それだけでは策とは言わんな。時間も大きくかかりすぎる」


 ギルドマスターが見定めるような目線をネオンに向ける。

 皆を動かすのなら、もっと良い策はないか、といわんばかりに。


「おそらくこのままだと、二領はきっと手を組む。二領を結ぶ細道が一本あるからそこで取引を行うことが予想されるわ。そこを逆に利用していっきに追い詰める!」


「何をするつもりだ?」


「領主軍を使って、現在付近にいる野盗共をすべてその細道に追いやる。こちらの道も綺麗になるし、あちらの交流をそこで絶つ!」


「面白いな。軍隊が出てくれるなら俺達の懐は痛まねえしな。お前の話に乗ってやる。ここの商人達が集まれば、近辺の奴等なんて丸裸だ」


 ギルドマスターはそう言って、立ち上がる。

 商人ギルドが動き始めた。

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