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私に任せなさい

 俺の突然の頼みにも、リズリーさんは快く引き受けてくれた。カルハザク男爵に、経済封鎖を解くよう依頼する。このままだと、パンクハット領からの金の流通を止めると伝えて。

 脅しじゃないかって?


 被害者だから仕方ないね。それに、金と宝石を止められたら、カルハザク領も経済封鎖をもはや受けているようなものだからな。

 カルハザク男爵から、すぐに返事は返って来た。

 こちらも経済封鎖など加担したくなかった。こちらも大変困っていた。すぐに封鎖を解除すると焦ったような文字で書かれていた。


「これで、首の皮一枚はつながったかな?」


 だが、これからどうしようか。正直新米男爵の俺は、残り二領についてはよく知らない。

 俺は今後について考え始めた。


「うーん……うーん……どうするかなあ」


 戻ってきて二日、俺は執務室の机の上でうんうん唸っていた。カルハザク領とパンクハット領との流通は復活したからしばらくは持つが、このままじゃジリ貧である。

 何よりただでさえ金がないのだ。勘弁してほしい。


「お疲れさまー、ってすごい顔してるわね、あんた」


 執務室に入って来たのは、ネオンだ。


「いやー、思ったよりあの爺の嫌がらせが面倒でな」


「経済封鎖でしょ。こっちも売り上げが落ちて、迷惑してるわ」


「そりゃあすまん。なんとかしてやりたいんだけど……」


 俺は頭を掻いた。ぼんやりしている俺の元へネオンは近づいてくると、俺の顔を手で無理やり上げる。


「私が言いたいのはそういうことじゃなくて……経済については、私の方があんたより先輩なんだから、私に任せなさい。御用商人なんだから、こんな時くらい頼ってよ」


 そう言って、ネオンは笑った。自信満々なネオンを見て、俺は張り詰めた緊張を解く。


「そういえば、ネオンは昔からそうだったな。自信満々で……安心できた」


「今、どういう状態か聞かせてくれる?」


「分かった」


 俺はネオンに現状を説明する。


「なら、状況によっては武力も必要かもしれないわね。領主軍は出してもらえるのかしら?」


「うちの領を荒す者が仮にいたのなら、軍を動かそう」


「オッケー。すぐに、解決してやるから待ってなさい」


 ネオンはそう言って、颯爽と執務室を去っていった。




 ネオンはシビルの屋敷を出た後、その足でクロノスの商人ギルドを訪れる。

 ネオンは少し緊張した面差しで、商人ギルドの扉を開けた。

 商人ギルドはどこか活気がなかった。

 商人ギルドの中に入ると、中の商人達が皆、ネオンを見つめながらささやいている。


「あいつだ……新領主に取り入った……」


「あんな若いのに、御用商人なんてできるとは思えないけどねえ……」


 どうやら微塵も歓迎されていないようだ。ネオンもそれを知っていたのか、臆した様子はない。

 ネオンはまっすぐにギルドの受付へ向かう。


「ねえ、ギルドマスターをお願い。話があるの。経済封鎖についてよ」


 受付嬢は少し困った顔をする。


「経済封鎖についてはこちらも認識しております。対処いたしますので、しばらくお待ちください」


 どうやらクレームを入れに来たのと勘違いされているようだ。ネオンが説明しようとする前に、奥から男が現れる。


「領主から、何か言われたのかね? 奥に来たまえ。話を聞こう」


 クロノス商人ギルドマスターが裏を指す。


「話が早くて助かるわ」


 ネオンはそう言って、奥へ向かった。

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