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スーパークレーマーってこと!?

 慌ただしく働く屋敷に、一枚の手紙が届く。

 グロリア家筆頭文官であるグスタフが酸っぱいものを食べたかのような渋い顔をしていた。


「どうした、グスタフ。借金の取り立ての手紙でも届いたか?」


「それも嫌ですが……面倒な手紙が届きましたよ」


 そう言って、グスタフは俺に手紙を差し出す。


『シビル殿

 叙勲おめでとう。先輩貴族として、貴族の作法を教えてあげようと思う。十日後の昼に行くのでよろしく頼む。 

 オズワルド男爵』


 要約するとこんな感じだ。 

 俺は首をかしげる。

 誰だ、こいつ。

 しかも同じ男爵じゃねえか。


「グスタフ、知ってる?」


「オズワルド男爵が来るなんて……終わりだ」


 グスタフはため息を吐く。


「そんな大物なのか?」


「はい……奴は……スーパークレーマーです」 


 真剣な顔でグスタフが言う。


 何言ってんだ、こいつ?


「つまり……どういうことだ?」


 もっとかみ砕いて説明してほしい。


「奴はこうして、むりやり貴族の元を訪れては、いいがかりのような難癖をつけるのです。しかも女癖も悪いのです。一向に結婚もせず、町の女と遊んでいるという噂です。町の女を妊娠させたこともあるとか」


 うわっ、まじかよ。


「無視しとけばいいんじゃ……」


「奴がこうして動く裏には、大物がいることも多いのです。戦争の理由付けですね。それがどういう意味か分かりますか?」


 それですべてがつながる。

 バーナビーの差し金か。こいつを使って、戦争の理由を作ろうってのか。小賢しいことをするもんだ。


 クレーマーだって?

 メーティスさんを舐めるんじゃねえよ。完璧な接待を見せてやる。

 俺はすぐさま頭をフル活用する。数千を超えるメーティスへの質問が、オズワルドを丸裸にする。


「あれも……これも……あれも必要だな。あの人も……間に合うか?」


 俺はぶつぶつとつぶやき始める。

 俺はネオンに早速大量の商品を依頼する。 

 絶対クレームをつけたい男と、絶対にクレームをつけられたくない男のバトルが始まる。




 俺は三日後、日が昇り始める前に兵士を連れ、オズワルド領へ向かう。


「なんでこんな早く出るんだ? 昼にうちに来るって言ってたんだろう?」


 シャロンが眠そうな顔で言う。少し不機嫌そうだ。


「そこがまず、オズワルドのクレームポイントなのさ。昼に、屋敷で待ってたらぼろくそに言われる。奴は七時前には、オズワルド領と、グロリア領の関所に居て待ってるんだ」


 オズワルド領は、うちの東の領である。西がパンクハット領。


「なんだそれは。あの手紙が全くそんな情報はなかったじゃないか?」


 シャロンはあきれるように言う。


「察しろ、ってことというか、まあ難癖付けたいだけさ。だから、奴が来る前に関所に居たい」


「はあ……私を巻き込まないでほしいよ」


 シャロンは目をこすりながら、馬を歩かせていた。

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