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冒険者ギルドへ向かう

「おおー」


 俺はデルクールの城壁を見あげて声を上げる。デルクールは町全体が高さ四メートルほどの石造りの城壁で囲まれていた。これなら攻められても中々落ちないだろう。


「ここは国境付近の町ですからね。ですが、ここ五十年ほど攻められたことは無いので、あまり意味は無いんですが」


 商人が笑いながら説明してくれる。

 遂に俺はデルクールへ辿り着いた。


「ここまで護衛ありがとうございます、シビルさん。この町は中央の大鐘楼が観光名所なんですよ。良かったら是非一度見に行ってください」


「こちらこそありがとうございます。また縁があれば」


 商人の男と握手を交わした後、別れの言葉を告げた。


「どうしようかね。やっぱり身分証が欲しいから、何処かのギルドに入るか。その前におすすめされた大鐘楼を見てみようかね」


 この世界での身分証はギルドカードであることが多い。冒険者ギルドが一番気軽に入れるだろうから、一度寄ってみるか。



 この町はどうやら中心から放射状に道が造られているようだ。ところどころにこの町を警備しているであろう騎士達が立っているが、どこかやる気は感じられない。

 道を進むと大きく開けた広場に出た。



「すげえ」


 素直に感嘆の言葉が出てしまった。中央には高さ数十メートルを超える石造りの巨大な大鐘楼があった。その上には銀色の巨大な鐘が堂々と輝いている。鐘の直径は二メートルを超えるだろう。名所になるのも頷ける美しさと迫力がある。


 魅入っている俺を見たおっさんが声をかけてくる。


「あんた、この町は初めてだな。初めてみた奴はまず、あの大鐘に心を奪われる。あれは俺達の守り神なのさ。中心で俺達をいつも見守ってくれる。昼になるといつも鐘がなる。それは綺麗な、美しい音が響き渡るんだ」


 確かに守り神と言われるのも分かる神聖さを感じる。


「立派な鐘ですね。是非その音色を聞いてみたい」


「もうすぐ鳴るさ。俺達は鐘の音で昼を判断するくらいだからな」


 是非近くで聞きたいが、また聞く機会もあるだろう。おっさんから冒険者ギルドの場所を聞いて向かう。


 中央通りを少し進んだ先の、大きく歴史を感じさせる建物に辿り着く。

 中に入ると、武器を持った冒険者たちがこちらをちらりと見る。だが、すぐに興味を無くしたのか、目線を戻した。


「最近は畑のビッグボア退治ばっかりだぜ」


「逆にレッドクロコダイルの依頼は減ってる気がする」


「遂にオークを倒して、武器を新調したんだ!」


 皆テーブルに座って酒を飲みながら世間話や、情報交換をしている。怖そうな者も多いが皆楽しそうだ。

 絡まれる前に受付に向かおう。受付嬢は赤いバンダナを巻いた若い女の子だ。優しそうでほんわかとしている。


「冒険者登録を行いたいんですが、ここは初めてで知識がないんです。基本的なことを教えてくれませんか?」


「かしこまりました。ランクはSランクからGランクまでございます。初めはGランクからですね。お客様は戦闘用スキルですか?」


「残念ながら違います」


 この世界では十五になると一人一つスキルが与えられる。自らのスキルを知るために教会の神官に鑑定してもらうのがどこの国でも恒例となっている。


 勿論皆が戦闘系のスキルな訳も無く、農業系スキルが四割。生産系スキルが二割。戦闘系スキルが二割。その他が二割といったところか。

 剣士や、魔法系スキルを持つ者は軍に入ることも多い。優秀なスキルを得るということは成功が約束されたようなものなので、皆スキルに一喜一憂することになる。




「……そうですか。ちなみにどれくらいの魔物を狩った経験がありますか?」


 一瞬残念そうな顔をするな。気付いてるぞ。まあ実際弱いんだけど。


「ゴブリン程度なら倒したことは」


「なら、Gランク依頼で少しずつ実力を上げることをお勧めします」


「ちなみにこのギルドはどれくらいのランクの人が?」


「トップがCランクですね。Bランク魔物なんてここらへんではまずお目にかかる事はないですから、そのレベルの冒険者はうちには居ません。Cランクあれば町の英雄になれますよ。一組しかこの町には居ません。Dランクなら町の上位です。何組かいます。Eランクが町を支えている中堅層という感じです。Eランクパーティの目安はオークを狩れる程度の強さですね」


 なるほど、Eランクすら怪しいな。勝てる気しないもんあいつらに。俺には冒険者は無理かもしれん。身分証必要だから作るけど。


「分かりました。登録お願いします」


 本当に分かってるのか、見たいな顔やめてください受付嬢さん。


「では登録金一銀貨になります」


 意外に高いなあ、と思いながら銀貨を払う。既に銀貨は九枚になってしまった。このままじゃ本当に飢え死にだ。早急に稼ぐ方法を考えなければ。

 身分証であるギルドカードを貰う。Gランクとはっきりと書いてある。


 しばらく別室で説明を受けた後、ギルドを出た。




 ギルドを出た瞬間、美しい鐘の音が聞こえた。綺麗な音だ。全然この町のことは知らないが、これだけで好きになれそうだ。


「まずは金を稼がないとな。だが、稼ぐあてはあるんだなあ」


 俺は口角が上がるのを抑えられなかった。俺の唯一にして最大の長所『神解(メーティス)』を活かし、商売で儲けるのだ!

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