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ドン・バーナビー

 バーナビー家の屋敷は今まで見た中で、最も大きかった。囲っている塀の終わりが見えないのだ。


「これほんまに一人の家なん? こんな大きくても意味ないんちゃう?」


 巨大な塀を見たメロウが呟く。


「金持ちとはそういうものなんだよ。それにしても、俺達で良かったのか?」


 ライナスが俺を見て言う。獣人や亜人は場所によっては差別の対象だからこその言葉だろう。


「二人とも俺の仲間だ。頼りにしている。それに……何かあったときは、お前達が頼りだ。おそらく武器は持ち込めないからな」


 武器が奪われた状態だと、念動力を持つメロウと、素の身体能力の高いライナスが頼りだ。


「なるほど……任せろ」


 ライナスが獰猛な笑みを浮かべる。いや、まだ揉めると決まった訳じゃないんだけどね。


 俺達は馬車を降り、正門の前に降り立つ。鉄でできた重厚な門が中を守っている。左右には、門番が槍を持って警備している。


 門番はこちらを見ると、にっこりと笑う。


「グロリア男爵ですね。お話は伺っております。今案内の者を呼びますので、しばしお待ちください」


 この間会った老紳士がすぐにやって来た。


「お待ちしておりました。こちらへどうぞ。すみませんが、武器は中にお持ちできませんが、お持ちですか?」


「いや、何も持ってきていない。安心してくれ」


 軽くボディチェックをされた後、中を案内される。俺は失礼でない程度に、来た道を確認する。

 老紳士は立ち止まると、木製の立派な扉をノックする。


「バーナビー様、グロリア男爵を連れて参りました」


「入ってくれ」


 部屋の中で座っていたのは、優しそうな初老の男。

 朗らかな笑みを浮かべている様子を見ていると、本当に彼が裏社会のドンとはとてもじゃないが思えない。


「よく来てくれた。忙しい時期にすまないね。座ってくれ」


 バーナビーは立ち上がると、俺にソファを勧める。


「本日はお招きいただきありがとうございます」


 俺は頭を下げた後、ソファに座る。


「なに、今彗星の如く現れた話題の英雄だ。私としても是非一度話してみたくてね。うちの自慢のコーヒーだ。豆から、挽き方まで拘っている」


 良い匂いのするコーヒーが綺麗なティーカップに入っている。


「これは美味しいですね。いやいや、買いかぶりですよ。運と、味方が優秀だっただけです」


「随分謙虚じゃないか。私は謙虚な人間が好きだがね。新しい領地はどうだ? 君へのプレゼントだ」


 こともなげににっこり笑う。


「やはりエンデを殺したのは貴方でしたか……」


「私の部下に無能は要らんよ。半分以下の戦力に負けるような無能はな」


 先ほどと声のトーンも変わっていない。優しそうなトーンで、バーナビーは言い放った。


「バーナビー公爵は大変優しく、帝国の良心と伺っておりましたが。随分違いますね」


「とぼけるのは止めたまえ。奴の腹心だ……知っているんだろう?」


 カマかけをかけているのか? どう対応すべきか……。


『正直に答えるべき?』

『イエス』


「帝国の裏社会を牛耳る男、ドン・バーナビーのことですか?」


 俺はにっこりと笑って、答えた。

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