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面接

 俺は翌日、グロリア領中に張り紙を配る。

 文官と兵士の募集である。

 兵士募集にはこう書いてある。


『大魔境を生き残った若き英雄と共に戦おう! 今なら採用されたら、祝い金貰える! 同時に知り合いの紹介も募集してます。紹介した者が採用されたら紹介者にも祝い金プレゼント!』


 今回の胆は後半である。紹介するだけで、お金がもらえるチャンスがある。紹介者への祝い金は十万G。一般人には大きい額だ。これはちなみに全て俺のポケットマネーでするつもりだ。

 クラントン家は既に殆ど金がなかった。先日の戦いの賠償金もあったからだ。原因は俺だ。取りすぎた。リズリーさん、返してくれないかなー。

 俺とシャロン、グスタフさんの三人は屋敷の大広間に並んで座っていた。扉の先には終わりが見えない程の、列ができていた。


「こんなので来るとは思えなかったが……思ったより来たな」


 とシャロンが呆れがちな口調で呟く。


「こんな条件で来るものが、まともな人が居るのでしょうか?」


 グスタフも心配そうに言う。


「まあ、それはこちらで見極めればよいから、大丈夫ですよ。まずは応募者が多くないと」


 採用の決定自体は簡単なのだ。何と言っても、メーティスにこう尋ねるだけで良い。


『採用すべき?』


 これだけだ。俺よりよっぽど信用できる。


「では、次の方どうぞ」


 グスタフの言葉を聞き、新たな志望者が現れる。


「失礼します」


 服装も身だしなみもしっかりした若者だ。自然な笑顔で一礼をすると椅子の前まで歩くと口を開く。


「ホーランドです。本日はよろしくお願いいたします」


「どうぞ、おかけください」


「ありがとうございます」


 非の打ちどころがない。良い人材も来るもんだ。

 その後の受け答えもよどみがなく、確かな知性を感じた。


「本日はありがとうございました」


 ホーランドは、笑顔で一礼すると、部屋を去っていった。

 その様子を見て、珍しくシャロンが感心していた。


「中々、良い人材も来るじゃないか。あいつは採用でいいだろう」


「私もそう思います」


 グスタフも笑顔で肯定する。


 だが、俺の返事は別だった。


「不採用」  


「お前、なに贅沢を言っているんだ!? こんな新人男爵にあんな人材、めったに来ないぞ!?」


「あいつは詐欺師だよ。メーティスで確認もした。スキルも『話術』。自然なトークスキルも全てはここの財産狙いだ」


「な……さ、詐欺師……。分かるものか、そんなもの! だいたい五分やそこら話しただけで相手のことなんて分かる訳がないんだよ!」


 机を思いっきり叩きながらお怒りである。ご不満のご様子。机ひび入ってるじゃん。金ないんだから止めてほしい。


「もう嫌だ……何も分からない。皆が私を騙そうとしているんだ……」


 拗ね始めちゃったよ。


「兵士希望の場合は軽い模擬戦も入れるから……落ち着いて」


「ならいいが……」


 シャロンが戦うと、誰も合格しなさそうなんだよなあ。


「シャロンに負けても、採る人は採るからね」


「分かっている」


 それからもずっとひたすら面接である。正直、メーティスに尋ねる作業は一瞬なので面接はポーズに近い。


 採用率は二十パーセントくらいだろうか。よさそうに見えても駄目だったり、駄目そうに見えても伸びしろがあったり、採用って難しいんだなあ。


「次の方、どうぞ」


 おっ、次の人か。考えごとばかりじゃいかんな。面接者に目を向ける。


 すらっとした長身だった。綺麗な絹の黒の服を着ている。長い黒髪を後ろで三つ編みで束ねている。にっこりと笑っており、糸目になっている。


「おい……あいつ、おそらくかなりやるぞ」


 シャロンがぼそりと呟いた。何が強いのか分からないが、実力者であることは感じられた。


「初めまして、リーシェンと申しマス」

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