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新たな英雄に

 湖を超えて、目的の小島の地を踏みしめ、更に中を進んでいく。

 俺達の目に飛び込んできたのは、美しい、心を奪う壮大な景色だった。


「綺麗……」


 メロウは思わず言葉を零す。

 金色に輝く稲穂が、雪原の上でも煌々と輝いている。


「これが……アルデド麦か」


 感慨深げにエスターさんが、呟く。


「これでハルカ共和国も救われる……」


「採りましょうか」


 俺達はアルデド麦を獲れるだけ獲る。ここの生態系に影響を与えない程度にだが。それでも膨大な量を獲ることができた。

 特にエスターさんは、まる四日間、一心不乱に獲り続けていた。トン単位である。

 農家顔負けの働きである。今までどこか飄々としていたエスターさんが文句ひとつ言わずに黙々と働いていた。その様子を見て、メロウも手伝っていた。

 俺もローデル帝国のために、大袋十袋程獲った。これは、これからの麦のスタンダードになるのだろう。


「そろそろ……氷が解け始めます。国に帰りましょう」


「ああ……もうそんな時間か。十分獲れた。これだけあれば大丈夫なはずだ。戻ろうか」


 溢れんばかりの麦は全てマジックバッグに収納されたようだ。

 俺達は島を出て、ローデル帝国を目指した。






 二十日ほどかけて、ようやく俺達は国境付近まで辿り着いた。俺の必死の感知のお陰で比較的安全な道を進めたとはいえ未だにハードな旅なのは間違いない。

 国境付近を警備している兵士はこちらを見ると、まるで亡霊にあったかのように驚愕した表情に変わる。


「か、帰ってきた! 本人か?」


「馬鹿言え! もう何か月も帰ってなかったのに、死んでるに決まってるだろ……?」


 兵士達は、逃げるように詰所に戻る。


「まるで化物扱いだな」


 呆れたようにエスターさんが呟く。


「まあ、三か月以上帰ってなかったから死んだと思われてたんでしょうねえ」


 しばらくすると詰所から大量の兵士が武器を持って現れる。

 おいおい、口封じでもするつもりか?

 その中で最も立派な服を着た中年が、こちらを見ながら口を開く。


「大魔境を乗り越えてきた英雄への無礼な態度を謝罪します。だが、魔物には人に化ける物も居ます。何か証明できるものはありますかな?」


 俺は軍から支給されたドッグタグを見せる。


「シビルさん、確かにここに向かった名簿とも一致しますな。おかえりなさいませ、新たな英雄に歓迎を」


 中年は深々と頭を下げる。


「ありがとう」


「ところで、その女性は?」


 中年はメロウを見る。明らかに亜人である。


「えーっと……」


 俺はなんと説明したらよいか考える。


「こいつが大魔境で拾った女だ。惚れたらしい」


 エスターさんが突然、俺を指さして言う。

 何言ってんの!? この人!

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