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メリー族の歴史

「駄目だ。俺はここから出るつもりなんて、ない。外の世界は大魔境より、ずっとずっと危険なんだ。大魔境は少し、危険かもしれないが、慣れたらいい場所だ。お前も森に慣れたらきっと気に入る――」


「嘘や! それならなんでいっつもお父さんは傷だらけなんや! ここが危険やからやろ! 外はもっと安全なんやろ? 人間は多くが、メリー族より弱いって聞いた。なら、大丈夫なはずやん」


「それはお前が何も知らないからだ! 人間は亜人には厳しい。奴隷にする国もあるくらいなんだ。我々はここにしか居場所はない!」


 お互いどんどんヒートアップしてくる。


「何にそんな怯えてるんよ! 分からん。私にはなんでお父さんがそんな怯えているんか分からん! 一生ここに引きこもってるつもりなんか! 命がけで! 村の人も毎年減ってるやんか。私が生まれた頃の半分もおらへん……。お母さんも……! 私達はどこへだって行けるはずや! 居場所はここにしかないなんて、そう思い込んどるだけや! 居場所は自分で作るもんちゃうんか! この臆病者! 私は一人でも出るからな!」


 メロウはそう叫ぶと、そのまま森の中へ消えていった。


「メロウ……」


 ジルさんは悲痛な顔で、ただそれだけ呟いた。


「おい、シビル」


 エスターさんが俺を見る。


『メロウは一時間以内に森の中で魔物に襲われない?』

『イエス』


「大丈夫です。すぐさま危険はないです」


「ならいい」


 ジルさんがこちらを見て、申し訳なさそうな顔をする。


「また、みっともないところを見せてしまいましたな。お恥ずかしい……」


 ジルさんは頭を掻きながら言う。


「メロウはそこそこ強いですし、人間界でもやっていけるかと思います。失礼ですが、なぜそこまでここにこだわるんですか?」


 俺は気になっていたことを遂に尋ねる。


 明らかにジルさんも、他の者もここに固執している。ここになにかあるのか。それとも、外で何かあったのか。


「君は若いから知らないのか。エスターさん、貴方は軍歴も長そうだ。メリー族の過去について知っているのでは?」


「……ああ、デミ聖国の闇の歴史だろ? 知ってるぜ」


 エスターさんはそう言って、口を開いた。


「闇の歴史? 一体何があったんです?」


 俺はそんな話全く知らなかった。そもそもデミ聖国自体ほとんど知らない。聖女が収める国で、聖騎士団は幅を利かせている、ということくらいしか知らない。


「メリー族の目の前で話したい内容でもないんだが……」


 そう言って、ちらりとジルさんを見る。


「いえ、話してあげてください。人間の業の深さと、メリー族の悲劇を……」

 

 ジルさんの言葉を受け、エスターさんは話し始めた。

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