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良いアイデア

 朝、太陽が顔を出し始めた頃。メロウは暇そうに、家の中から外を眺めていた。


「ねー、出たらあかんの?」


「駄目だ。最近は隙あらば、外に出ようとしおって」


 メロウの父、ジルはむすっとした顔で返す。


「ねー、お父さん。シビル達がここら辺に戻って来たって本当なん?」


「……らしいな。またシビル君もこちらに顔を出すだろう。だから、お前も大人しくここで待って、修行をだな。だいたいお前はまだ実力も経験もなにも足りていないんだ。少しずつ鍛錬すればお前も必ず強くなる。俺がお前くらいの子供の頃にはだな……」


 その後も長話が続く。返事が返ってこなくなったことに気付いたジルがメロウの元へ振り向く。だが、先ほどまでいたメロウはどこにもいない。


「あのバカ娘が……! シビル君の所か」


 ジルは頭を押さえながらため息をつくと、外へ出た。






「シビルー。元気か? 遊びに来たでー」


 洞窟の外からメロウの声が聞こえる。俺は立ち上がると、洞窟から出る。


「遊びにきたって……。俺、別にキャンプしに来てる訳じゃないんだぞ」


「知っとるって! 顔色が変わったな。完全に戦士の顔つきや。魔力も異常に増えとるね。皆、シビルを見たら魔法使いやと思うやろうね。そんな頑張ってるシビルにプレゼントを持ってきたで! お花や! 綺麗やろ?」


 そう言って、メロウが笑顔で花を差し出す。とはいえ、まだ花弁は閉じており、やたらでかい。花弁だけで三十センチくらいありそうだ。大魔境産の花はよく分からんな。


「へえ、綺麗だな。ありが――」


 俺が花に手を伸ばすと、突如花弁が大きく開き鋭利な牙を向ける。


「うおおおおおお!」


 俺は突如花に襲われた衝撃から大声を上げ、ぎりぎりで躱す。

 食人植物じゃねえか!


「引っかかったー!」


 嬉しそうに笑うメロウ。


「もう少しで腕失うところだったわ!」


 俺の言葉を聞いて、なお笑い続けるメロウ。


「大丈夫、大丈夫! 人の腕嚙み切るほど力ない子だから。ドッキリ用やー」


「本当かよ。人の腕くらい余裕で噛み切る迫力だったぞ。おまえ何しに来たんだ」


「なんやー? 理由がないと来たらあかんのか? 嬉しいくせにー」


「お前なあ……」


「メロウ! 何をしている!」


 突如、怒号が響き渡る。振り抜いた先には顔を赤くした鬼のようなジルさんが立っていた。大変お怒りでいらっしゃる。


「げっ、ここまで追ってきたんか!」


 メロウはそう言って顔をしかめる。


「お前にまだ外は早いと言っているだろう。外は危険だ。帰るぞ」


「お父さんはずっとそう言ってるやん! じゃあ、いつになったらええんよ! 私はいつになったら出れるんよ!」


「……もっと強くなったらだ」


「もう十分に強くなった! そうや! いいアイデアがあるで! そんな心配ならお父さんがついてきたらええやん。それなら危険もないし!」


両手を叩いて、メロウが言う。いいアイデアだろうというどや顔である。だが、それと対照的にジルさんは淡々としていた。

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