渡る方法は?
「俺がお前の空靴を使って向かう、って言うのは現実的じゃねえな。こんな長距離を飛ぶと魔力消費が大きすぎる。途中で戦闘でもあろうものなら魔力切れで水龍の餌だ」
空靴無くなったら俺一瞬で死ぬから却下だ。
「ここまで! ここまで来たんだ! アルデド麦さえあれば救える。ハルカは救えるんだ! なぜここまで来て……」
エスターさんは初めて感情を露にして消え入るような声で言った。
その後、沈黙がその場を支配する。
絶望だった。
この湖をどうやって渡ればよいのか見当もつかない。
エスターさんも全く方法が思いつかないのか、ただ空を見つめていた。
このままではアルデド麦を得ることができない。それはすなわちハルカ共和国の滅亡。それを回避するために再び戦争すら考えられる。
「エスターさん、諦めないでくださいよ」
「どうしろってんだよ。船ここまで持ってきて、護衛でもすんのか? 間違いなく一飲みだぞ! もう終わりだよ、終わり!」
「終わりませんよ。神解が、あります。神解に分からないことなんて、何一つありません。必ず島へ向かう方法を見つけて見せます!」
「……やってみろ」
エスターさんは呆れたように言う。
『島に渡る方法はある?』
『イエス』
ある。やはりあるのだ。いくら化物だらけだろうと、必ず。
『船で渡ることは可能?』
『ノー』
『空靴を履いた長距離移動で渡ることは可能?』
『ノー』
やはりこのアイデアではダメなのだ。では何か空靴や船に代わる道具が必要なのか?
『この湖を渡るには何か道具が必要?』
『ノー』
何か物が必要な訳ではないらしい。
では一体何が?
渡る方法はあるのだ。なのに、何か道具が必要な訳ではない。では何が一体必要なんだ?
人? 人材?
『渡るためには、他にも人が必要?』
『ノー』
これも違う。
駄目だ。何も思いつかない。人でも、道具でもない。じゃあ何があれば渡ることができるんだ。どうやって。想像もつかない。
だが、メーティスは嘘はつかない。
メーティスが言うのだ。必ず渡る方法はある。それだけは信じられる。
水の上を歩く魔法があれば?
それではあの海龍に食べられてしまいだ。
じゃあ、水を魔法で全て凍らせれば。駄目だ、規模が大きすぎる。そんな魔法使える奴がいるのか?
「シビル、お前……こんなの渡れると思ってんのか? あの化物達が居る間は絶対に無理だぞ」
「渡る方法は必ずあります。少し待っててください」
エスターさんが諦めない俺に、茶々を入れてくる。化物が居なくなれば、いいってことだろう?
新作です! 一章完結まで書き溜めてあるので毎日投稿します!
ローファンの転生陰陽師ものです!
平安最強の陰陽師の転生先は、冤罪をかけられ没落した一族だった。
虐げられる一族のため、現代を圧倒的力で無双します!
本作を楽しんでくれた方なら必ず楽しめる熱い作品になってますので、是非ご一読お願いします!
タイトル
復讐を誓う転生陰陽師は現代世界で無双する~裏切者の一族だと冤罪をかけられ没落しましたが、最強の式神達と共に成り上がります~
URL
https://ncode.syosetu.com/n9018ic/
あらすじ
平安最強と謳われる陰陽師・芦屋道満は、親友でありライバルでもある安倍晴明に裏切られ、一族諸共惨殺されてしまう。
転生の術を使った道満は現代に転生を果たしたが、そこは妖怪達が跋扈し、それを祓う陰陽師が英雄視されるようになった世界だった。
だが、芦屋家は安倍家を裏切り、返り討ちにあった一族だと蔑まれ没落していた。安倍家が現代で地位を確立している一方で……。
自身の敗北により一族が虐げられていると知った道満は、芦屋家の再興、そして安倍家への復讐を誓う。
幼い頃から再び鍛錬を積み重ね、平安最強の陰陽師は現代で覚醒する。
忠誠を誓う最強の妖怪達を引き連れ、陰陽師界を無双する。





