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黒剛猿

 トラップツリーの範囲外に逃れ、息を整える。


『半径百メートル内に魔物は居る?』

『イエス』


『A級以上?』

『イエス』


『S級以上?』

『ノー』


 A級か。


『A級魔物の数は五匹以上?』

『ノー』


『三匹以上?』

『ノー』


『一匹?』

『イエス』


 A級一匹なら、と考える。本当に一匹か?


 囲まれている気がする。


『B級以上の魔物も居る?』

『イエス』


『十匹以上?』

『イエス』


『五十匹以上?』

『イエス』


『七十匹以上?』

『ノー』


『群れの囲いが一番薄いのは西?』

『ノー』


『群れの囲いが一番薄いのは東?』

『イエス』


 群れのボスがA級か。B級の数は五十以上ね。随分な歓迎だな。


「エスターさん」


「分かってる。囲まれてるな。数は分かるか?」


「長がA級、一匹。群れはB級で五十以上です」


「ふう……退屈のしねえ旅だぜ」


 俺達のやり取りを聞いていたメロウが驚いている。


「え? 囲まれてるって何に? まだあのお化けみたいな木来てるん?」


 メロウはきょろきょろと周りを見渡す。


「黒いゴリラの群れだ。五十は居るそうだ。気をつけろ」


「黒いゴリラ? 黒剛猿や! 群れやって⁉」


 メロウの言葉と同時に、黒剛猿がそこら中から顔を出す。メロウは少し悩む素振りを見せた後に、こちらにシロを差し出す。


「私が、時間を稼ぐ……。だから、その間にこの子だけは親の元まで連れて行ったげて。私がただでは死なへんで……」


 メロウは覚悟を決めたように言う。シロはメロウの様子が変なことを察したのか、不安そうにメロウを見つめる。俺はそんなシロの頭を優しく撫でた。


「何言ってんだ。こっちは昨日からトラブルにしかあってねえんだよ。だからこの程度……どうってことねえ。エスターさん、右が一番囲いが薄いです。そこから突破しましょう」

「了解、嬢ちゃんは?」


「俺が」


 俺はそう言うと、シロをメロウに返すと、メロウを思い切り抱き上げる。いわゆるお姫様だっこである。


「えっ? えっ? 何してるん?」


 突然の抱き上げに動揺を隠せないメロウ。


「静かにしてな。舌噛むぞ! 行きましょう!」


 俺達はそのまま右方向で走り出す。魔力を空靴に込め、全力疾走だ。木々からは大量の黒剛猿が顔を出す。

 全身が黒毛に覆われており、丸太のように太い両腕は人間など簡単に砕きそうなほど強そうだ。

 全長は四メートルを優に超える。鋼のような筋肉は、矢も簡単には通さないだろう。

 東側を守っていた黒剛猿は十匹程。こちらに気付くと、ドラミングを始める。


「「「「ウホホホホホホ!」」」」


 黒剛猿の鋼鉄のような胸を叩く轟音が大地に響き渡る。周囲からも振動を感じられた。


「うるせえよ」


 エスターさんは剣を構えると救い上げるように切り上げる。その剣からは斬撃が放たれ、一匹を両断する。

 仲間が一撃で殺されたことを感じ取った黒剛猿達の目の色が変わる。


「エスターさん、右から三番目、頭部が少し赤毛のゴリラ、こいつらに指揮している個体です!」


「あいよ」


 エスターさんは一瞬で伝えた黒剛猿へ距離を詰めると、首を刎ねた。

 やっぱりエスターさん、強ええ……。

 指揮している個体が死んだことで、指揮系統に乱れが生じた。この隙を見逃すわけにはいかない。


「このまま離脱します! 最適ルートを通ります! ついてきてください」


 俺は魔力を惜しまずに、黒剛猿の間を全速力ですり抜ける。そのまま一気に包囲網なら逃げだした。

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