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危機

 翌日、通常通り営業していると、どこかに行っていたネオンが屈強な剣士達を連れて戻ってきた。


 いったい誰なんだい?


「シビル、この人達は前言っていた知り合いの元傭兵のディラーさん。もしこれから本当に店を持つ時が来たら警備員としてお世話になることもあるかもしれないから紹介しておくわ」


 そういえば、護衛の伝手があるって前言ってたような。俺のスキルがあればあまり護衛が要らないから、まだ会ったことがなかった。


「よう大将、俺の名はディラー。元傭兵で、今は護衛などをしている。ネオンさんから話は聞いてるぜ。たいそう目利きが上手いんだってな、また護衛が必要になったらよろしく頼む」

 男はそう言って、手を差し出す。俺はその手を取り握手をする。その握った掌から、剣を未だに振っていることが分かった。年齢は三十代後半くらいだろうか。無精ひげを生やしているが、中々の男前である。男の渋さというのだろうか、風格が感じられる。


 どうやら元傭兵の五人で護衛をしているらしく、ディラーさんはそのリーダーのようだ。特にディラーさんは中々強そうだ。

 ディラーさんが帰った後、ネオンに尋ねる。


「店を持つのは、まだ先って言ってなかった?」


「そうだけど。先に顔合わせくらいしておいた方がいいでしょう? お店はこのままいけばもうすぐ持てそうだけど、現状は安定した仕入先がないし、伝手もそこまでないのよねえ。なんの店にすべきか、まだ悩んでるのよ」


「確かに。現状なんでも屋だからな」


 掘り出し物を買って売っている都合上、商品のジャンルが安定していない。露店ならともかく、しっかりした店でなんでも屋の形式をとっているところは珍しい。


「まあ、まだお金ももう少し必要だしその間に考えましょうか」


「そうだな」


 しばらくはこの形式で稼ぐことになるだろう。割と順調なのだ。








 それから二週間後、ネオンビル雑貨店は安定して稼いでいる。安定しすぎていると言ってもいいくらいだ。特にトラブルも無く、平和そのものだ。


「平和だねえ」


 昼頃、客足が途切れた時、思わず呟く。


「良い事じゃない」


「ネオンは店を正式に持つなら警備を雇うかもって、言ってたけどこんな平和な町に必要かね?」


「安全だとは思うけど、警備を雇っているということ自体が抑止力になるものよ。まあ、売る商品によるから要らない可能性もあるけどね」


「それもそうか」


 宝石とか扱ったら必要な気はする。けど、デルクールはやはり平和なイメージが強い。あの壁に守られているのもあるのかも。魔物一匹侵入してこない。


「そういえば、二日後いつもと違う町であるダブロンに仕入れに行こうと思うの。安全か聞いてみて?」


「了解」


『二日後、町に出るのは危険?』

『イエス』


 駄目なのか。


『三日後、町に出るのは危険?』

『イエス』


『四日後、町に出るのは危険?』

『イエス』


 ん? 何かおかしくないか? 常に危険ってことか? メーティスさんがおかしく? ってのはないだろう。


 嫌な予感がする。


『一週間後、町に出るのは危険?』

『イエス』


 外が危険ということか?


『二日目以降外が危険になる?』

『イエス』


 やっぱり……。


『襲ってくるのは魔物?』

『イエス』


『デルクールが襲われる?』

『イエス』


『中に居れば安全?』

『ノー』


 その言葉に、俺は小さく背に汗をかいた。嫌な汗だ。背筋が冷たくなる。安全だと思っていた場所が危険地帯だと突如知らされるこの恐怖。


 最近平和ボケをしていた。もっと安全について逐次確認しておけば……。だが、後悔をしている暇はない。おそらく二日後にはこの町は襲われるのだ。しかもここは陥落する。安全ではないのだ。

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